まずは真里さんの初婚から聞いた。女子校育ちで恋愛経験のないまま、両親の勧めで一回り年上の陽平さん(仮名)とお見合い結婚。陽平さんは親から継いだ大きな飲食店を経営しており、「年上だから甘えられるだろう」という気持ちがあったと真里さんは振り返る。
「大恋愛ではありませんでしたが、どうせいつか結婚するんだから早くてもいいだろうと思いました。うちの両親も商売をしていて、私たち3姉妹には『家を出られる者から順に出ろ』という方針でした」
昔の商家同士の結婚を見るような話である。嫁いで以来、子育てをしながらがむしゃらに婚家の仕事に専念した真里さん。しかし、まじめだけれど商才がない陽平さんと、息子の肩ばかりを持つ義父母に対して、少しずつ心が離れていく。
「昔は有名な飲食店だったのですが、時代の流れに乗れずに売り上げは下降線でした。私はもっと伸ばしていきたいと思っていたのですが、前夫とは目指すものが違ったようです。彼は飲食店の経営者なのに片付けができなくて清潔面にも疑問がありました。でも、義父母はいつも彼の味方。私は『お前なんか』と言われ続けました」
忍耐が限界に達したのは39歳のとき。すでに結婚生活も20年に及んでいたが、息子はまだ中学生だ。家業の飲食店からは離れ、息子が成人するのを待って離婚しようと決めた。そのためには経済的にも自立しなければならない。真里さんは人材派遣会社に登録し、39歳にして初めてOLになった。もともと働くことが好きな真里さんは力を発揮し、コールセンターの契約社員やガス会社の正社員を経て、現在のエステサロン経営に至る。
息子の独立を見届けて離婚
「息子が成人して独立するのを見届けてから離婚届を前夫のところに持っていきました。10年間も家庭内別居状態だったので前夫も反対はしません。財産分与ではもめそうになりましたが、とにかく早く自由になるために妥協して、半年後にはさっぱり別れることができました」
自由の身になった真里さんには夢があった。一度も経験がない恋愛がしてみたい。そのうえで再び結婚することができたら最高だ。友人に相談したところ、ある大手結婚相談所を勧められた。たくさんの独身者が登録しているので、「お見合いというよりも出会いの場だと思えばいい」とのアドバイス付きだった。
入会してすぐに愛知県内のホテルで婚活パーティがあった。男女それぞれ12人ずつ。プロフィールカードを交換しながら全員と少しずつ会話をする方式だ。
「最初に話したのが裕也さんです。感じがよくて、話しやすかったのを覚えています。この人とお付き合いできたらいいな~と思いましたが、私より5歳も下なので無理だろうとあきらめていました」
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