名が体を表していない?「残念な路線名」10選 「さくらトラム」「桃太郎線」どこだかわかる?

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9)信越本線(JR東日本)

本線と名が付く長大な路線で、これほどまでに残念な状況になってしまった路線はほかにあるだろうか? 北陸新幹線の開業に伴い、ずたずたに分断されてしまった気の毒な路線である。

現在はしなの鉄道の駅となった、かつての信越本線軽井沢駅(筆者撮影)

横川―軽井沢間は廃止、軽井沢―篠ノ井間はしなの鉄道線に、長野―妙高高原間はしなの鉄道北しなの線、妙高高原―直江津間はえちごトキめき鉄道に、それぞれ移管されてしまった。群馬県内を走る高崎―横川間に至っては、「信」も「越」も関係ないところで完結しているのに信越本線を名乗り、かわいそうな感じもする。時代の流れとはいえ、残念極まりない。

「東上」するから東上線ではない!

10)東上線(東武鉄道)

最後に登場するのは東武東上線。言いやすいこともあって何も考えずに東上線という路線名を使っているけれど、その由来を知ると無念さが伝わってくる。東上線とは、東京から(地図の)上の方へ延びているから付いた名称ではない。1912年に東上鉄道として発足したときは、東京からとりあえずは上州(群馬県)の渋川まで鉄道を敷設するつもりで「東上」と命名したのである。ゆくゆくは、さらに北上して新潟県の長岡まで路線を伸ばす壮大な構想があったのだ。

埼玉から先、上州を経て新潟県までを結ぶ予定だった東武東上線(筆者撮影)

しかし、渋川まで到達することもなく、埼玉県の寄居で建設は中断。そうこうしているうちに国鉄(現・JR)八高線の計画がでてきて、寄居以北への延長は夢と消えてしまった。今では、池袋から寄居までの直通列車もなく、小川町駅で系統は分断されている。秩父鉄道へ乗り入れる観光用電車も消え、純然たる通勤通学路線として大繁盛だ。それでも、長距離鉄道として発足して「東上線」と命名したことを考えると、ちょっと寂しい。

鉄道路線は時代とともに役割を変えつつ、栄えるものもあれば、衰退の一途をたどるものもある。それでも路線名だけは、長年親しまれていれば簡単に変えることはままならない。だからこそ、新たに命名したり、愛称を考えるときは、あとで後悔することのないよう、多くの人が納得できる名称にしてほしいものである。

野田 隆 日本旅行作家協会理事

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のだ たかし / Takashi Noda

1952年名古屋市生まれ。早稲田大学大学院修了(国際法)。都立高校に勤務のかたわら、ヨーロッパや日本の鉄道旅行を中心とした著作を発表、2010年に退職後は、フリーとして活動。日本旅行作家協会理事。おもな著書に『にっぽん鉄道100景』『テツはこんな旅をしている』『シニア鉄道旅のすすめ』(以上、平凡社新書)、『テツ道のすゝめ』(中日新聞社)、『ニッポンの「ざんねん」な鉄道』(光文社知恵の森文庫)、『テツに学ぶ楽しい鉄道旅入門』(ポプラ新書)などがある。

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