北朝鮮の核実験場閉鎖を信用してはいけない

安全性と実効性に疑問符

「プルトニウムの山」として知られたこのセミパラチンスク実験場は、ベルギーとほぼ同じ面積で、冷戦期には少なくとも340回の地下実験を含む456回の核実験が実施された。

同実験場の清浄化と保安には、17年の歳月と1億5000万ドルの費用がかかったと、ハーバード大ベルファーセンターの報告書は指摘している。

1960年代にサハラ砂漠で13回の地下核実験を実施したフランスは、「核実験施設は完全に破壊し閉鎖した」としており、国際原子力機関(IAEA)の2005年の報告書は、アルジェリアにあった同実験場の大半で「ほとんど残留放射性物質が検出されなかった」としている。

だが地元住人やアルジェリア政府は、放射線に汚染された岩やほこりが地下から漏れだした1962年の「ベリル事故」も含めた過去の実験によって、現在も続く環境破壊や健康被害が残されたと主張する。

中国やパキスタン、インドも、過去に地下核実験を行ったことが知られている。1989年に初期段階の核開発計画を放棄した南アフリカは、実験を行う前に地下のシャフトなどを閉鎖した。

一方米国は、ネバダ州の核実験場で少なくとも828回の核実験を実施している。1992年以降、米国の核実験は行われていないが、同実験場はいまも稼働状態だ。

恒久的かつ不可逆的

核の専門家は、核実験場の閉鎖計画は、少なくとも6月に予定される米朝首脳会談を前にした歓迎すべき政治的ジェスチャーだと指摘する。

だが同時に、実験場閉鎖は、米国が求める核開発計画の「完全かつ検証可能で、不可逆的な解体」の最初の一歩とは必ずしもならない、と警告する。

米国務省は、実験場破壊を確認するオブザーバーや、国際監視員の現地入りを北朝鮮側に要求したかとの質問には明確に答えなかった。

「完全に査察可能で恒久的かつ不可逆的な実験場の閉鎖は、(北朝鮮の)非核化の鍵となる一歩だ。さらに詳細を把握したい」と同省広報担当者は述べた。

豊渓里からわずか100キロ地点で国境を接する中国は、閉鎖を監視、もしくは支援する可能性については何も表明していない。

「私の理解では、北朝鮮はそのような要請を中国に行っていない」と、中国外務省の報道官は15日述べた。

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が、虎の子の核兵器を完全に手放すことを疑う関係者は多いが、仮に金委員長が核計画を縮小したとしても、それには長い時間が必要になるとアナリストは指摘する。

「金正恩が、実験場閉鎖など反対を受けにくい行動に一方的に踏み切り、監視団なしに実施することを懸念している」と、ワシントンにある国際科学テクノロジー政策研究所のシャロン・スカッソーニ教授は語る。「そうなれば、北朝鮮が、普通ならば歓迎される行動を取る一方で、その検証ができないという複雑な事態に陥る」

(Josh Smith and David Brunnstrom 翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 検証!ニッポンの労働
  • 岐路に立つ日本の財政
  • あの日のジョブズは
  • 西村直人の乗り物見聞録
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
スペシャルインタビュー<br>元ラグビー日本代表・畠山健介

今年から米メジャーリーグ・ラグビーのチームに所属、華やかな選手生活とは裏腹に幾多の葛藤を乗り越えてきた畠山選手。「ラグビーファンの拡大には、リーグのプロ化が不可欠だ」。新天地にいる今だから見えてきた日本ラグビー改革論を熱く語ります。