北朝鮮の核実験場閉鎖を信用してはいけない 安全性と実効性に疑問符

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5月15日、北朝鮮の核実験場閉鎖は、予想以上に難しい作業だ。写真は核開発技術者と話す金正恩氏。2016年9月KCNA提供(2018年 ロイター/KCNA)

[ソウル/ワシントン 15日 ロイター] - 北朝鮮の核実験場閉鎖は、予想以上に難しい作業だ。トンネル崩壊作業に失敗すれば、放射性デブリ(ごみ)が拡散しかねない。放射性物質を埋めたとしても、再び掘り起こされて兵器に再利用される可能性が残る。

また、たとえ実験場の全トンネルを破壊したとしても、北朝鮮のエンジニアが新たに核実験を行う場合、新しいトンネルを掘れば済む──。

豊渓里(プンゲリ)にある核実験場のトンネルを、爆発物を用いて来週崩壊させると北朝鮮が表明したことを受けて、軍縮専門家はこのような懸念を提示している。

北朝鮮政府は、破壊作業を国際メディアに公開すると公言しているが、技術査察官を招いていないため、実際どれほどの実効性が担保され、安全性が確保されるのか、軍縮専門家や核科学者は疑問視している。

地盤が不安定化しているとの報道も

昨年9月に北朝鮮が過去最大の核実験を実施した後に、同実験場の一部で地盤が不安定化しているとの報道もある。

さらなる爆破措置は不必要なリスクを招く恐れがある一方、北朝鮮は、より安全で信頼性の高い方法で閉鎖することができると、ソウル大学核原子力工学科のソ・ギュンリョル教授は指摘する。

「爆破は理想的なやり方ではない。爆破ほどの派手さはないが、コンクリートや砂、砂利でトンネルを埋めるのが最善だ」と同教授は述べた。

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