核実験場廃棄だけでは非核化にならない理由 核兵器開発の関連施設は100~150カ所もある

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金正恩・朝鮮労働党委員長を乗せた車列。国境へと向かう際の厳戒ぶりも世界から注目された(写真:Korea Summit Press Pool via Reuters)

4月27日に行われた南北首脳会談で、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が、北東部豊渓里(プンゲリ)の核実験場を5月に閉鎖し、その様子を米国の専門家やメディアに対して公開すると約束した。

「すでに使い物にならない実験場を廃棄するだけであり、単なる欺瞞」という批判的な見方に反論したものだ。この閉鎖作業は、正恩氏が口に出し、韓国の文在寅大統領が太鼓判を押した「完全な非核化」が、口先だけでないことを証明することになるのだろうか。はたまた、中途半端なもので終わり、疑いを増幅させることになるのだろうか。

豊渓里は、海抜2205mの万塔山をはじめ、海抜1000メートル以上の高い山で囲まれている。過去6回の核実験が実施され、4本の坑道があるとされる。

先月20日、朝鮮労働党の中央委員会総会は、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を中止し、豊渓里の廃棄することを突然、決定した。

南北、米朝首脳会談を前にして、「核放棄」への本気度を示す狙いだったようだ。

豊渓里はすでに崩落している?

現状の核実験場への見方は大きく割れている。

中国科学技術大(本部・安徽省合肥市)の研究チームは、豊渓里の核実験場の山が崩落したことが地震記録の分析で確認されたとの研究結果をまとめた。このため、核実験ができない状態であることを示唆した。

他にも、豊渓里はすでに使い物にならない実験場だとの指摘が相次いででおり、正恩氏は不快感を抱いたようだ。

27日の南北首脳会談で、文在寅大統領に対して、わざわざ「使えなくなった施設(豊渓里)の閉鎖とみる向きもあるようだが、来てみれば分かる。既存の施設よりさらに大きな2つの坑道があり、これは健在だ」と発言したという。

この発言は、正恩氏の同意を得たうえで韓国政府が29日に発表している。

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