核実験場廃棄だけでは非核化にならない理由 核兵器開発の関連施設は100~150カ所もある

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ただし、入り口を塞いだだけでは、再使用される懸念も残ってしまう。

この問題に関連して、韓国の有力ケーブルニュースJTBCが5月1日、正恩氏が、3月末から4月初めにかけ、極秘に訪朝したマイク・ポンペオ米国務長官との会談の中で「核施設を全て見てもかまわない」と発言していたことが分かった、と伝えた。

北朝鮮の核施設の全容は分かっていない

しかし、過去40年以上かけて開発されてきた北朝鮮の核施設の全容は、いまだに分かっていないのが実状だ。

昨年7月に38ノースが、「核、生物、化学兵器の概要」と題した調査報告書を発表した。この中で、北朝鮮内には核兵器開発の関連施設が100~150カ所にもなり、研究開発や核兵器製造・実験に携わる人員数が9000~1万5000人に及ぶとの試算を明らかにしている。

韓国国内の分析や北朝鮮当局者の過去の発言などを総合したもので、正確な場所が不明な施設も多い。

金委員長の胸の内は?(写真:Korea Summit Press Pool via Reuters)

文大統領は、核実験場を公開するという正恩氏の発言を、懸命に後押ししている。1日には国連のグテレス事務総長に電話をかけ、国連も豊渓里核実験場の閉鎖現場に立ち会って欲しいと要請した。

しかし、豊渓里核実験場1カ所を廃棄しただけでは、国際社会と、気まぐれなトランプ米大統領に「非核化への意欲」を納得させるのは難しそうだ。米朝首脳会談は、1カ月ほど後に迫っている。

五味 洋治 東京新聞 論説委員

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ごみ ようじ / Yoji Gomi

1958年、長野県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、中日新聞東京本社入社。韓国・延世大学に語学留学の後、1999年から2002年までソウル支局に勤務。2003年から2006年まで中国総局勤務。この間、2004年に北京国際空港で金正男に偶然会ったことからメールのやり取りが始まり、のちに単独インタビューを実現させる。2008年8月から10カ月間ジョージタウン大学にフルブライト留学。現在は東京新聞論説委員。著書に『金正恩 狂気と孤独の独裁者のすべて』(文藝春秋)、『父・金正日と私 金正男独占告白』(文春文庫)など。

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