北朝鮮の核実験場閉鎖を信用してはいけない 安全性と実効性に疑問符
北朝鮮が水爆だと主張する9月の実験も含め、過去の核実験の大半が行われた複合トンネルの1つでは、今でも高濃度の放射線が検出されていると、同教授は付け加えた。
だが、地下核実験場用のトンネルやシャフトには一般的に、放射性物質が外に漏れ出す前に、核爆発の爆風によって閉鎖されるよう設計されている。北朝鮮は6回の実験を行う中で、放射線漏れを防ぐ方法を習得したとみられている。
「うまくやれば、放射線が外に放出されるリスクはない。だが問題は、トンネルが再使用不能な状態で閉鎖されるかどうかだ」。核危機グループのディレクターで、オバマ前米政権で核不拡散担当の特別補佐官を務めたジョン・ウォルフスタール氏はそう語る。
「トンネル数本の破壊をもって、将来的な核実験再開に物理的障壁ができたとわれわれが考えることだけが、考えられるリスクだ」
厄介な過去の閉鎖事例
北朝鮮は、核実験場の閉鎖により、実験を終了する一方で核兵器は保有し続けた他の核保有国の例にならおうとしている可能性があるとアナリストは指摘する。
ソ教授は、核兵器への再利用や闇市場での売却が可能な物質を北朝鮮人らが掘り起こす事態を防ぐには、トンネル閉鎖や関連施設の破壊に加え、豊渓里の実験場全体の保安が必要になると話す。
実験場閉鎖を巡る過去の事例は、時に面倒で、長期化している。
米国は1999年、カザフスタンにある旧ソ連時代の実験場を100トンのダイナマイトに匹敵する規模の爆破で破壊しようと80万ドル(約8822万円)を拠出した。