「東大卒」で活躍できる人とできない人の違い 「人工知能革命」の荒波を越える力とは何か

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・第一は「クリエイティビティ」。

・第二は「ホスピタリティ」。

・第三は「マネジメント」。

その「三つの能力」こそ、人間だけが発揮できる能力であると指摘されてきた。

では、この第一の能力である「クリエイティビティ」を身につけるには、どうすればいいのか?

実社会で求められる「知的創造力」とは

改めて言うまでもなく、「クリエイティビティ」とは、直感判断力に基づく知的創造力のことである。

しかし、最初に理解しておくべきことがある。

実社会において求められる「知的創造力」とは、音楽のモーツァルトや絵画のピカソ、科学のアインシュタインといった天才的な人間の持つ「知的創造力」のことではない。実社会で求められる「知的創造力」とは、そうした水準のものではない。

実社会で求められる「知的創造力」とは、まずは、目の前の仕事を、従来とは異なった視点で見つめ、その仕事の新たなやり方や、より良いやり方を考え、実現していく力だ。そして、ここで大切なことは、「実現していく力」という部分だ。

例えば、企業や官庁に就職して、ある仕事の進め方について、新たなやり方を考えついたとする。ただ、それを提案したり、語っているだけでは、「知的創造力」を持った人材とは言われない。

その提案を、魅力的な企画書にまとめ、上司や幹部を説得し、職場の仲間を巻き込み、一つのプロジェクトとして動かし、具体的な結果を出したとき、初めて、「知的創造力」を持った人材として認められる。なぜなら、実社会は、「アイデア・コンテスト」の世界ではないからだ。

ただ新たなアイデアや面白いアイデアを語っただけで、そのアイデアを実現するために行動する力を持たなければ、「アイデア倒れの人」という評価を受けてしまう。そして、それを繰り返していくと、いつか、職場の仲間は、誰も、相手にしてくれなくなる。

教育の世界では、「創造性を育む」といった言葉や、「創造的な人材に育てる」といった言葉が、実社会の現実から遊離した雰囲気の中で語られているが、実は、どのような分野においても、「創造的」と言われるプロフェッショナルは、単にアイデアが卓抜なだけでなく、それを実現する力を身につけている。私自身、そのことを思い知らされたのが、米国のシンクタンクで働いたときだ。

次ページ米国のシンクタンクで学んだ「革新性」
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