iQOSに仕込まれた喫煙データ収集機能の真実

このデバイスに大きなパワーを与えている

ロイターは2017年12月、PMIがFDAに結果を提出したiQOSの臨床試験において、責任医師の一部にトレーニングの不備やプロフェッショナリズムの欠如がみられ、試験の結果について十分な確認作業が行われていないことがわかったと報道した。

この中でPMIの元社員や受託業者が、検査に不備があったと指摘した。試験結果について操作や偽造はみつからなかった。

PMIはロイターに対し文書で「全ての試験は、適切な資格のある、トレーニングされた責任医師によって行われた」と回答した。

特許申請

米上院議員10人が今年2月、ロイターの調査報道について言及した書簡をFDAのゴッドリーブ長官に送り、iQOSのような商品の承認を「急ぎ過ぎない」よう要請した。書簡では、こうした製品を承認するには、病気のリスクを低減し、多くの喫煙者を禁煙させ、若者の使用を増やすことがない、というしっかりとした根拠が必要だとの主張が展開されている。

PMIは、加熱式たばこに関する数々の特許を申請している。そのうちの1つは、マウスピースに取り付けられたセンサーで喫煙者の唾液に含まれるニコチンを測定し、外部からデバイスに調整を加えることができるという内容。この調整機能によって、喫煙者が摂取するニコチンの量をモニターし、ニコチンの上限値をコントロールすることができるとしている。

PMIは昨年12月に文書で、この特許は「当社のどの商品にも使用されておらず、予想できる将来にわたって使用する計画はない」としている。

FDAの今年1月の諮問委員会では、PMIのギルクリスト氏が呼ばれ、iQOSユーザーと通信ネットワークの接続拡大を提供するブルートゥースをどのように利用しているか質問された。

同氏は、ユーザーに対し、デバイスをクリーニングする時期を教えたり、ヒートスティックがなくなりそうになると教えて、ユーザーが紙巻たばこに後戻りしないようにするために使っていると答えた。

同氏は「たとえば、『きょうはまだiQOSを使っていないようですが、禁煙したのですか。それとも紙巻たばこに戻ってしまったのですか』といったメッセージが届く」と話した。

世界の中でも、たばこのマーケティングに関する規制が緩い日本では、フィリップモリスはデバイス購入時に登録するユーザーの情報を集めている。

東京のファッションの中心地・原宿に、iQOSの文字が際立つガラス張りの建物、iQOSブティックがある。来店客はiQOSのウェブサイトに登録すれば、割引でデバイスを買うことができる。

同社は、割引サービスなどを提供して、利用者にウェブサイトへの登録を勧める。利用者は好みのたばこの種類を登録するのと同じように、インスタグラムのユーザーIDを登録する。

PMIは文書でこうした登録の目的について「年齢確認をしたうえでフィリップモリスジャパンのiQOS顧客データベースに登録された顧客のみが、iQOSのインスタグラムをフォローできるようにするため」と回答した。

2016年のPMIの内部資料では、ソーシャルメディアを使ったアプローチについて書かれている。例として、顧客向けのフェイスブックの利用の可能性が挙げられている。書き込みの例としてこうある。「ご存じですか。iQOSの最新バージョンは、iQOSに早く慣れるのに役立つアプリに接続できます。ちょっと試してみませんか」。

(Tom Lasseter, Duff Wilson, Thomas Wilson and Paritosh Bansal 翻訳:宮崎亜巳 編集:田巻一彦)

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