87歳バフェットに学ぶ億万長者への9つの視点 なぜアップルを評価し仮想通貨はダメなのか

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回答:(マンガー)一般的に米国の企業買収後の全体価値は買収前より下がることが多い。したがって必ずしも米国企業が買収により企業価値が上がるとは考えるべきではない。多くのケースで自己株買いは他の手段より有利な選択肢といえる。安く企業を買収できれば、それに越したことはないが世の中そんなに甘くない。彼ら(アップル)はそれをよくわかっている。株価を上げるためだけに自己株買いを行う企業は多いが、アップルはそれにあたらない。(注:5月1日アップルは第2四半期決算発表で、米国最大規模となる1000億ドルの自己株買いを発表。これまでの2000億ドル自己株買いプログラムは第3四半期(4~6月)で終了予定)。

仮想通貨は投資対象とは言えない

質問8:急速に進歩するAIについて。AIは投資(質問での英語はCapital Allocation)に影響するか。

『バフェットの非常識な株主総会』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

回答:(マンガー)知能は機械によって生み出されるものではないので、人工知能を知ろうとは思わない。人工知能は機能していると思うが、まだこれからの分野で、これによってある程度変化するだろうが、大きくは変わらない。

一般的に、人間は投資すべき対象を全力で見つけようとするが、人間心理がその成功を妨げる。そこで人間は一定のフォーミュラ(選定基準)を求めるが、私はこれを“物理学への羨望”と呼んでいる。しかし世界は物理学のようではなく、その外にある。一定のフォーミュラを求めるこの誤った考え方が失敗に導く。だからもっと広く多く一般的概念をマスターして、自己の判断力を高めるように努力する必要がある。AIが個別にその面で役立つとは思えない。投資においても同じことが言える。

質問9:仮想通貨について、今後どう見たらいいのか?

回答:(バフェット)仮想通貨は投資対象とはいえない。株は利益を、債券は金利を、農場は作物を生み出すが、仮想通貨は何も生み出さない。したがって仮想通貨には本源的価値はない。仮想通貨の価格が高騰するのは、買った価格より高く売れるだろうという思惑によっているもので、その熱が冷めれば悪い結末になる。

総会の議案について議決をするバフェットとマンガー。87歳と94歳のコンビをまだまだ長く見ていたい(筆者撮影)

以上が主なやりとりだ。5回目の参加となったバフェットの株主総会だが、彼の多方面への影響力は一段と大きくなっているように感じる。年齢を重ねるごとにその頭脳はますます明晰だ。

さすがに例年やっていた新聞投げやテーブルテニスのパフォーマンスをやめたりしているところに、高齢になったことを実感したが、昼休みを挟んで10時間の長丁場の総会スケジュールを、現役世代と同じようにこなすところを見ていると、あと少なくとも5年は現状維持が可能だろう。今年もバフェットを間近で見る機会を得たが、まさに歴史上の偉人が動いているという感がある。そういう機会を持てた総会の参加者は、大変幸せであるという感慨を持った。

尾藤 峰男 独立系資産運用アドバイザー

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びとう みねお / Mineo Bito

びとうファイナンシャルサービス株式会社代表取締役。1978年早稲田大学法学部卒業、日興証券入社。1999年まで21年間在籍、英国やカナダ、豪州でも勤務。2000年独立し会社設立。金融機関から完全に独立した資産運用アドバイザーとして活躍中(投資助言・代理業登録、関東財務局)。著者に『いまこそ始めよう 外国株投資入門』『バフェットの非常識な株主総会』などがある。

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