87歳バフェットに学ぶ億万長者への9つの視点 なぜアップルを評価し仮想通貨はダメなのか

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質問4:敵対的買収はしないのか?

回答:(バフェット)買収先の企業に私自身が好まれていたい。企業経営を全面的に任せることにしているので、気持ちよく仕事をやってもらいたい。

質問5:外国鉄鋼製品への関税率引き上げが、バークシャー傘下の製造業に与える影響は?

回答:(バフェット)鉄鋼製品のコストは一定程度上昇するだろうが、本格的な貿易戦争は起きない。貿易は、いつもそうとは限らないがアメリカにとって最終的に有益だ。もし衣料品を国内製造に限っていたら、今いくら払っているかわからない。一方で国内製造企業は、たとえば解雇で一時的な痛みを伴うが、国全体にとってよい方向にするため、政治家はそうした痛みを和らげる政策を実行する必要がある。

なぜアップルの自己株買いを評価するのか?

質問6:バークシャーの現預金残高は1100億ドル以上に積み上がっているが、どう考えているか?

回答:(バフェット)今年は4月までに、アップル株の買い増し分120億ドルを含め、150億ドル投資しているが、ここ数年大きな買収はしていない。しかし現預金残高が1500億ドルになっても配当で返す考えはない。株主もそれを望んでいない。また自己株買いも、まだ自己株買いをするレベル(株価が1株簿価の1.2倍になったとき)に来ていない。マーケットが下がるときは必ずあり、われわれは案件を辛抱強く待つ。

質問7:アップル株を大量に買い増したが、なぜアップルなのか。また自己株買いに時には批判的なのに、なぜアップルの自己株買いを評価するのか?(注:バフェットは2018年第1四半期にバークシャーが7500万株のアップル株取得したことを総会前に公表。2017年末の1億6500万株から買い増し、直近の持ち株比率は4.9%。インデックス運用で大量に保有するバンガードやブラックロックに次ぐ第3位の株主に。アップル株価は好調な決算やバフェットの買い増し公表によって4月末の165ドル台から最高値を更新した)。

回答:(バフェット)われわれはアップルをハイテク企業というより非常に競争力ある消費財企業と見ている。アップル製品を取り巻く強力なエコシステムが出来上がっていて、利用者はアップル製品を使い続ける。

自己株買いをするべきかどうかの判断は賢明にされ、魅力的な買収候補が見当たらず、自社の株価が安いと判断すれば、大いに買い付けるべきだ。1000億ドル、2000億ドル規模の時価総額の企業でアップルにフィットする企業はまずないだろう。現在われわれの保有比率は約5%だが、これから一銭も払わずに、アップルの自己株買いにより6%あるいは7%に保有比率は上がるだろう。そのメカニズムはこれまで多くのケースでも働いた。

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