日中韓会談、対北朝鮮で「蚊帳の外」の日本 主役は米朝、政局がらみで問われる安倍外交
こうして米朝両国を軸に東アジアの国際情勢が激しく動く中、10日の国会では学校法人「加計学園」の愛媛県今治市での獣医学部新設に関連して「首相案件」などと発言したとされる柳瀬元首相秘書官(経済産業審議官)に対する、衆参両院予算委での参考人質疑が行われた。その中で柳瀬氏は同学園関係者と首相官邸で3回面会したことを認めたが、「首相へ報告したり首相から指示を受けたことは一切なかった」などと首相の関与は否定した。
自民党はこれを「一定の区切り」として重要法案の審議促進を図る方針だ。しかし、野党側は「加計ありきがさらに明白になった」として、14日の衆参両院予算委集中審議などで首相への追及を強める構えで、加計問題での与野党攻防の激化も避けられない情勢だ。
秋以降の続投を前提に中国に働きかけ
ただ、首相は10日も外交行事を優先し、昼前に「(柳瀬氏の答弁は)見ていないが、柳瀬元秘書官は誠実に答えると思うし、すべてを明らかにしてもらいたい」とコメントしただけだった。
首相は同日午前にトランプ大統領と電話会談したあと、昼には李中国首相とともに都内のホテルで開催された日中平和友好条約締結40周年記念・李首相歓迎レセプションに出席した。さらに、同日午後には北海道を訪問する李首相に現地で合流するため、空路で札幌入りした。11日午前に札幌市内のホテルで開かれた李首相を歓迎する「日中省長フォーラム」に出席し、その後、李首相の自動車工場での自動運転車視察にも同行した。
首相がことさら李首相を歓待し、北海道視察にまで付き合ったのは、東アジア情勢が流動化する中で、日中関係改善が最優先課題となっているからだ。李首相との日中首脳会談で首相は、年内の公式訪中で合意し、さらに日中首脳交流強化のため、習国家主席の早期訪日も要請した。今後の政治日程からみて、首相の念頭にあるのは秋以降の訪中と来年の習主席訪日とみられ、秋以降の首相続投を前提とした合意でもある。
その一方で首相は、李首相との北海道入りを利用する形で、外交行事のない10日夜には自民党北海道連の会合に出席し、地元選出国会議員や地方議員らとジンギスカン鍋を囲んで懇談した。9月の自民党総裁選に向けて地方票固めを狙ったものだ。こうした首相の行動について、首相サイドは「何が何でも総裁3選と、超長期政権実現への意欲と自信の表れ」(側近)と解説する。ただ、「もり・かけ」に「セクハラ」など一連の政権スキャンダルを引きずったままの政局運営が続けば、首相の思惑通りの展開になるかどうかは、なお予断を許さない。
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