日中韓会談、対北朝鮮で「蚊帳の外」の日本

主役は米朝、政局がらみで問われる安倍外交

この日中韓首脳会談の成果についてのメディアの報道も、日本国内でも海外でも地味な扱いに終わった。同会談直前の7、8両日に北朝鮮の金委員長が中国東北部の大連を電撃訪問して習主席との中朝首脳会談を行ったからだ。中国の国営メディアは、金委員長が「関係国がわれわれへの敵視政策と安全保障上の脅威を取り除けば、われわれは核を保有する必要はなく、非核化を実現できる」と表明したとして、金氏が非核化に「一定の条件」をつける考えを示した、と報じた。

中朝会談は3月に続く2度目。前回同様に極秘裏の開催で、事後の全容公表となったため、各メディアの報道も日中韓会談と重なり、よりインパクトのある中朝会談の内容が優先される結果となった。しかも、金委員長が専用列車を使用した3月訪中と違って、大連往復に専用機を使うという初めて事態に「遠隔地での米朝首脳会談開催への準備作業ではないか」(外務省幹部)との見方も広がり、会談後に公開された映像が世界の注目を浴びた。

さらに、日中韓会談と同時進行で米朝も激しく動いた。ドナルド・トランプ大統領が、4月に訪朝したばかりのマイク・ポンペオ米国務長官(前回訪朝時はCIA長官)を再び北朝鮮入りさせたからだ。ポンペオ氏は日本の横田基地経由で9日に平壌入りし、米朝首脳会談開催への事前調整を進めるとともに、北朝鮮にスパイ容疑で拘束されていた韓国系米国人3人を解放させ、専用機に同乗させて米国に連れ帰った。

6.12米朝会談を「大成功に」とトランプ氏

ポンペオ氏らの帰国は10日未明(日本時間10日午後)だったが、トランプ大統領は空港まで出迎えて交渉の成果を世界にアピールした。さらにその後に大統領は、米朝首脳会談を6月12日にシンガポールで開催することをツイッターで明らかにした。さらにトランプ氏は、10日夜(同11日午前)に遊説先での演説で、米朝首脳会談は「大成功を収めるだろう」と力説。「世界や北朝鮮、韓国、日本、中国のために素晴らしい合意をするつもりだ」と拳を振り上げて、大喝采を浴びた。

首脳会談の場所をめぐっては、シンガポールのほか、ウランバートルや板門店が有力候補として浮上し、トランプ氏も南北軍事境界線にある板門店に言及した経緯もある。米側はシンガポールに決めた理由を「米朝双方と関係があり、中立性が高い」と説明したが、金委員長の空路での訪中という行動からも、米朝両国の綿密な事前調整による合意であることは間違いない。

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