臨時国会始まり目を覆う民主党の窮状 リーダー不在が最大の問題

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臨時国会が始まり、16日、民主党の海江田代表が代表質問を行ったが、精彩がない。いまの民主党は10ヵ月前まで政権党だったのかと疑いたくなるほど、凋落と衰弱がひどい。

衆議院の議席は自民党の5分の1以下、政党支持率も5%で、8分の1だ(8日発表の朝日新聞の調査)。「民主党と名乗ると、露骨に嫌な顔をされ、遠ざけられる」と民主党の関係者が嘆く。嫌われているのは相手にされているのだから、まだ希望があるが、無視され、忘れられたらおしまい、という声もある。
 9月に岡田元代表と話をする機会があったので、再生・復活について尋ねたら、「3年後に政権を奪還する」という答えが返ってきた。不撓不屈の精神に敬意を表したいが、道はきわめて険しい。

何よりも重要なのは国民の期待感の再醸成だ。それは政権担当の「失敗の教訓」の生かし方にかかっている。失敗の原因は山ほどあるが、国民生活と社会の将来像を明確に掲げて強い意志で実行しようとするパワフルなリーダーを持ち得なかったのが一番大きい。

政権獲得時、政治主導や政策決定システムの変革、地域主権などを掲げたが、国民の期待は制度や仕組みの変革それ自体ではない。国民生活や社会をどういう姿にするか、誰がどうやって実現するか、そこを期待感の尺度にする。高い志、敢闘精神、熟達した手腕、複眼思考を持ったリーダーを擁し、掲げる目標に立ち向かう。その過程で結果として政治主導や政策決定システムも変革するという取り組みが、国民の期待に沿うやり方だろう。

その場合、リーダーに不可欠なのは正確な現状認識と国民のニーズの的確な把握だ。いま安倍政権は経済再生とデフレ脱却に邁進中だが、国民の最大のニーズは、実質的所得の飛躍的な回復に違いない。
 そこに照準を当てて具体的プランを練り、国民に訴えて行動を起こすパワフルなリーダーが出てくるなら、民主党も捨てたものではない、と国民は思い始めるかもしれないが、果たしてそんなリーダー候補がいるかどうか。

(撮影:尾形文繁)

塩田 潮 ノンフィクション作家、ジャーナリスト

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しおた うしお / Ushio Shiota

1946年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
第1作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師―代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤』『岸信介』『金融崩壊―昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『安倍晋三の力量』『危機の政権』『新版 民主党の研究』『憲法政戦』『権力の握り方』『復活!自民党の謎』『東京は燃えたか―東京オリンピックと黄金の1960年代』『内閣総理大臣の日本経済』など多数。

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