無責任なヤツほど出世する残念な職場の正体 説得力のある嘘つきが支配力を持つカラクリ

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件(くだん)の研究は今から30年以上前に行われたものだが、「無責任なヤツほど出世する」という傾向は、海外の多くの研究でも示されている。

責任感の強い人は正義感も強いため、自らの責任に加え、他者への責任追及も厳しくなりがちである。誰かが正直に告白することで困る人も少なからずおり、正義の人は厄介な存在となる。

一方、日常の業務の中にも多かれ少なかれ噓や責任逃れが横行しており、そういう人は案外、上司や周囲から重宝がられる。つまり、噓つき上手は、上からの「引き」で出世する可能性が高まっていくのである。

例えば、米国でもっとも有名な“無責任CEO”とされているのが、BP(石油会社のブリティッシュ・ペトロリアム)の元CEOトニー・ヘイワード氏だ。

BP社といえば、2010年4月にメキシコ湾沖合で海底油田の掘削作業中、大量の原油をメキシコ湾へ流出させるという大規模な事故を起こした企業で、この事故により11人の作業員が死亡。全米を震撼させる大惨事となった。

当時CEOだったヘイワード氏は事故直後に、

「一体、どうしてわれわれがこんな目にあうんだ」と報道陣の前で嘆き、強い非難を浴びたが一向に態度を改めることなく徹底的に責任を否認し、嘘を突き通した。

事故2週間後には、

「メキシコ湾は広大だ。海全体の水の量に比べれば、流出した石油と分散剤の量など微々たるものだ」とし、科学者たちが「部分的に溶解した原油が、海中を浮遊する様子」を捉え、責任を追求したにもかかわらず、「汚染物質などない。科学者はおかしい」と反論した。

また、倒産後も責任を否定し続けた老舗投資銀行ベアー・スターンズの元CEOアラン・シュワルツ氏も無責任トップのひとりとして、頻繁に取り上げられている。

「嘘をついている」という罪悪感がいっさいない

こういった事例からも分かるように、無責任な人たちは度々噓をつく。しかしながら彼ら彼女らには、「噓をついている」という罪悪感がいっさいない。

私たちは一般的に、「嘘をつき、責任を回避すると、イヤな気持ちになる」と考える。ところが実際には、嘘を貫き通すことができると、次第に“チーターズ・ハイ”と呼ばれる高揚感に満たされ、どんどん自分が正しいと思い込むようになっていくのだ。

それに拍車をかけるのが、「説得力のある嘘つきほど支配力を持ち、嘘をつくという行為自体が、その人に力を与える」という困った心のメカニズムである。

私たちは嘘を嫌い、無責任な人を嘆く一方で、嘘をつく人の高圧的な態度に信頼感を抱くという、極めて矛盾する心を持ち、それが嘘つきにますます力を与え、権力者の足場を強固にする。階層組織の“上”の立ち枯れた木々は、無責任な嘘つきで溢れかえることになってしまうのである。

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