不正をやる危ない会社は「組織図」でわかる 日本でなぜ不正が頻発するようになったのか

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消費者も厳しくなっている。三菱自動車のリコール隠しのときは死亡事故という重大事案が問題になったが、それに比べ燃費数値が実態より過少な場合はそれだけで身に危険が及ぶわけでもない。だが同社は売り上げが落ち、単独では存続できなくなった。以前ならスルーされた問題が今はスルーされなくなっている。

RMでは、トラスト&ベリファイ(信頼せよ、されど検証せよ)といわれる。信用するが、チェックはさせてもらうよ、と。効率化優先が強まった反面、検証段階でいろいろ出てきている。

──RM担当には、うるさいことを言いに来る人というイメージが。

RMの目的を一言で言うなら「経営理念の実現」だから、RMの基本は、経営理念をリスク管理の中心軸に据えることだ。与えられたことを形式的にやるのでは、本当のRMは機能しない。

──RMでは「3つのディフェンスライン」に基づき組織体制を整備するのが大事、とあります。

ミスや不正行為が起きやすい組織の弱点を知る方法として、3つのディフェンスラインで考えるといい。平たく言えばまず現場のチェック、そして検査、さらに監査。検査と監査の違いは業務を行う執行部門が担当するか否かだ。ポジショニングをする現場、収益部門とは独立にやる検査、そして執行部門とは独立に行う監査。それぞれのミッションはわかりやすい。この3つのディフェンスラインがきちんと機能していれば、RMもきちんとできるはずだ。

考え方の違う社外取締役を入れるのは有効

──不正をどう防ぐか。

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経営の外部要因に対してはどこもリスクを考えるが、内部要因、つまり内部や経営の不正についてはとかく見逃す。ただ、経営の不正はRMの範囲内にない。監査役が監視・牽制するもので、普通のRMはコーポレートガバナンスを扱わない。ただ、RMの視点で考え方の違う社外取締役を入れるのは有効。成長や利益に前のめりの人ばかりでは経営が暴走しかねない。

──英語版を書いているとか。

日本企業がグローバル化してきても、不祥事の報告書は日本語版しか出てこない。これでは海外のステークホルダーに対する説明責任を果たしているといえない。それがまた、海外から見て日本の会社は不透明だとの批判の根拠になる。不透明さの解消に少しでも貢献したいと思っている。

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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