不正をやる危ない会社は「組織図」でわかる 日本でなぜ不正が頻発するようになったのか

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──品質監査も事業部門が担う。

これも変な話だ。自己監査になってしまう。決めた以上、この組織で神戸製鋼所は突き進むのだろう。改善策を平気でこう描いてしまうRM感覚に疑問が大いに湧く。

──不祥事はまた起きうる?

起きるかもしれない。もともと監査は現場がやってはいけないものだ。「他山の石」になるかもしれない。

──一方で、評価できる改善報告書はありますか。

報告書としてよかったのはオリンパスだ。粉飾決算という扱いにくいテーマをよく調べてある。第三者調査委員会といっても、経営者の委託だけに、経営者の不正にはどうしても切り込みにくい。オリンパスは経営者の責任に至るまできちんと分析している。

ここまでやる会社があるのはいい事例になる

──昨年10月に公表された東芝の最終の改善報告書を評価していますね。

安岡孝司(やすおか たかし)/1985年みずほ情報総研入社。金融技術開発部部長などを経て、2009年から現職。企業リスク管理、企業財務、財務分析、金融工学などの講義・演習を担当。九州大学大学院理学研究科中退。数理学博士(九州大学)。欧米の学術論文誌2誌の編集委員(撮影:尾形文繁)

一般書の東芝関連本は10月までにほとんどが刊行されて、この改善報告書を織り込んだものは少なかった。この報告書から、自ら「不正会計」と言い方を改め、同時に内部体制の改善に大きく踏み込んでいる。

取締役会の議長を社外取締役にするばかりでなく、独立社外取締役のみで構成する指名委員会に強力な役割を与えた。100人の経営幹部に社長の信任調査を行うというのだ。つまり従業員から経営への監視の仕組みを作った。パワハラによる利益追求の叱咤がもうできなくなる。

普通は執行側や総務部にある内部通報窓口を、監査委員会に置いた。監査委員会は全員、独立社外取締役で構成するとしている。ここまでやる会社があるのはいい事例になる。

──ここに来て不正が日本企業で頻発しているのはなぜですか。

戦後のビジネスモデルは国の保護政策下にあった。貿易障壁もしっかりできていて、官民一体、労使協調で、頑張って成長してきたが、今やハンデなしで戦わなければならない環境になった。本当の実力が出る。

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