フェラーリはエンツォ・フェラーリがレースカー・メーカーとして創業したイタリア・モデナのメーカーであり、幾つもの社訓とも言うべきこだわりがある。その1つが「4ドア車を作らない」という重要なおきてだ。
フェラーリが70年間にわたって築き上げてきた“ほかとは違う希少なクルマである“、というブランドイメージによってフェラーリの現在があることをマルキオンネ以下、経営陣はよく理解している。いくら人気があるからといって、SUVというわかりやすいジャンルのワンオブゼムとして参入することはフェラーリにとって大変危険なことなのだ。あくまでフェラーリは比較するもののない唯一無二の存在でなければならない。
SUVに参入できるように下地はつくってきた
とはいえ、フェラーリもこのSUVブームをただ眺めていたワケではない。SUVに参入できるように下地はつくってきている。
その1つがAWD(全輪駆動)システムを導入し、2011年に発表した「フェラーリ・FF(フェラーリ・フォー)」だ。これはシューティングブレーク、つまりSUVのように背は高くないが、大人4人がまずまず文句なく乗ることのできる広さのキャビンとリアハッチを持ち、それなりの荷物を積むことができるモデルである。
そもそもシューティングブレークとは英国の狩猟用馬車をその発祥とするもので、ロールス・ロイスやアストンマーティンなどがラインナップした。その名前から、かなり趣味性の高いラグジュアリーなテイストがイメージされるワケだ。ただし、フェラーリのおきてに沿って、フェラーリ・FFも2ドアだ。モデル名のフォーは4ドアではなく4輪駆動を意味している。
このフェラーリ・FFは2ドアではあるものの、フェラーリ顧客のSUVニーズを吸収しようと企画された趣味性の高いモデルだ。そして、フェラーリ・FFの後継モデルとして2016年に登場したのが、「GTC4ルッソ」。ほどなく8気筒エンジン搭載の後輪駆動版「GTC4ルッソT」も追加された。
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