ラマダンで太るイスラム教徒の知られざる食 豚を食べる民族との「共生」とテロの狭間で…

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日没のアザーン(礼拝の呼びかけ)が聞こえたら、いよいよ食事だ(写真:木村聡)

日没後に最初に摂る食事「イフタール」は、家族や友人たちと囲む楽しいイベントである。ラマダンは宗教戒律に従った“苦行”ではなく、実際には“祭り”だ。

「ラマダン・カリーム(ラマダンおめでとう)」

カラフルなランプ「ファヌース」が飾り付けられ夜のルクソールの町では、人々が祝辞を言いながら、あちこちで食事が振る舞われていた。路上に広げられた臨時の食卓には仕事仲間や近所の人に加えて、物売り、物乞いの子どもが座っている。他国からのムスリム観光客も、共に食べようと誘われる。路上の食事を無償で提供していたパン屋の主人が言う。

「ラマダンはみんないっしょに食べて、イスラム教徒の連帯を感じる大切な時間です」

ラマダンのない「ゴミの町」

ところ変わって首都カイロ。ラマダン期間は人通りも少なく、商店も閉まりがちな地方都市だが、大都会はそうはいかない。必要な生産活動のために多くの人々が飲まず食わずで働いている。昼の気温は40度近い。街を覆う空気にちょっとイライラ感が混じっているのも否めない。

そんなカイロで昼間から堂々と飯屋が店を開け、しかも店頭で肉なんかを焼いている場所がある。もちろん人々は愉快に食べ、飲み、およそ空腹とは無縁の風景が広がる。キリスト教の一派であるコプト教徒が住むエリアである。人口の約9割がイスラム教徒のエジプト、カイロだが、宗教が異なるコプト教徒にはイスラムのラマダンは関係ないらしい。

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