また、予選会は良くも悪くもチームメートの走りがほかの選手に影響をもたらす。仲間が上位で戦っている姿を見れば、元気が沸いてくるが、反対に、“負の空気”も伝染してしまう。たとえば、前回の東海大はレース前日にエース村澤明伸を外すことを決意。村澤を欠いたメンバーでも予選を突破できる走力はあったが、「エース欠場」というマイナス要素を吹き飛ばすだけのパワーがなかった。
大学経営者も熱視線
今回の予選会は、前回より5分遅い午前9時35分スタートとなる。昨年まではCSで日本テレビ系のG+が生中継して、1週間後に地上波で放送という流れだったが、今回から地上波でライブ放送するために、「5分遅れ」のスタートになった。これは「予選会」が多くの視聴者を獲得できるコンテンツであることの表れで、大学関係者にとってもビッグイベントと言っていいだろう。
ちなみに予選会に参戦するには標準記録があり、今回はその基準をクリアした44校がエントリーしている。標準記録を突破する選手が10人そろわないと出場できないため、予選会に出場するのが目標という大学も少なくない。彼らにとっては、予選会が夢舞台だ。
大学経営者も予選会の戦いに熱視線を送っている。少子化により、大学経営も、この予選会が“勝負”になるからだ。正月の箱根駅伝に出場することができれば大学の認知度も高くなり、受験者数が大幅にアップする。予選会突破は箱根常連校の指揮官たちにとっては「最低ノルマ」で、受験者数の大幅アップを狙う大学にとっては「最大のチャンス」なのだ。
今回は記念大会で、通過枠が「9」から「13」に増えたため、例年のように実力上位校が落選する可能性は低い。しかし、前回の予選会で14位以降の大学は特にモチベーションが高い。下馬評は高くなくても、一気に本戦出場をつかむような大学が出てきてもおかしくない。今回は創価大、東京国際大など、箱根駅伝に一度も出場していない大学にもチャンスがありそうだ。
さまざまな角度から見ると、多くのビジネスヒントが隠れている箱根駅伝の予選会。この不思議なイベントを、ただのスポーツ青春物語ではなく、冷静にご覧いただければと思う。
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