秋葉原UDX、秋葉原ダイビル、富士ソフトビル、そして日本通運本社跡地に建設された住友不動産秋葉原ビルなどは、純粋なオフィスビルではなく、イベントホールを設けているのが特徴だ。「ビルの顔である1階にイベントホールを設けた。地域の賑わいを創出していきたい」(住友不動産)。
人の流れも変わった。2005年のつくばエクスプレス開業を契機に、JRと東京メトロを合わせた秋葉原駅の乗降客数は開業前の2倍近くにまで伸び、2017年には1日当たりの乗降客数は3社合わせて73万人に増加している。
古くから営業している電子部品店では、かつて専門知識を蓄えた客ばかりだったのが、近年は若者や家族連れも多く訪れるようになったという。
都内でも屈指のにぎわいを誇るオフィス街へと変貌した秋葉原。他方で、これまでの電気街としての存在感は薄れつつある。駅前のシンボルだった石丸電気やサトームセンはそれぞれ大手家電量販店であるエディオンとヤマダ電機に吸収された。
オフィスの街、秋葉原の魅力は何か?
秋葉原電気街振興会の荻野高重氏は「大規模な家電量販店の進出を受けて、小さな電気屋の集まりである秋葉原にメリットがなくなってきたのは事実だ」と語る。
他方で、「電気屋だけだったら、秋葉原は繁栄していなかっただろうし、電気屋自体もずっと同じ商品を売っているわけではない。電気街を含めたブランド、カルチャーの発信地としての存在感を示したい」(荻野氏)。
サブカル街としての顔にも変化が起きている。2006年に秋葉原UDX内に鳴り物入りでオープンした東京アニメセンターが2017年に閉店した(同年10月、新宿区市谷田町に再オープン)。
このほか、路面店を中心とする小型のホビーショップも閉店が相次ぐ。売り上げ不振や契約満了に限らず、地価上昇を受けてビルオーナーが建物を手放し、テナントがビルから退去するという事情もあるようだ。街の新陳代謝は、人知れず行われていく。
あまたあるオフィス街の一つとして埋もれることなく、電気街としての個性を生かした「IT拠点」となれるか。2020年以降、秋葉原のあり方が問われている。
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