税込み・税抜き、誰のための価格表示? 消費増税後の価格対応は様々。売り手の「論理」は理解されるのか

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GMS、SSM(大型食品スーパー)など自社店舗内でも衣料品を縮小し、空きスペースに専門店を入れるケースも増えている。専門店では、しまむらを筆頭に総額表示を採用する会社も少なくないだろう。テナント契約において価格表示に関する拘束力はまずないと見られ、同じ商業施設内で価格表示が統一できないこともありうる。

売り手側の論理が納得感を得られるか

もっとも、同じショッピングモール内で価格表示の方法が違っても、表示が明瞭でシステム変更に瑕疵がなければ、店頭で大きな混乱が発生することはないだろう。消費増税に関する大きな問題は、システム変更費用を投じ、時限立法で認められた本体価格プラス税額の表示に回帰する小売業界の姿勢だろう。

例えば、従来、総額表示で980円の価格だった商品は、単純に消費増税率3%が上乗せになると1008円になる。本体価格での表示は、「小売各社は値上げをしていない」との”言い訳”であり、売り手の論理だが、1008円という値段に対して消費者や値頃感や納得感を持つだろうか。

今後の価格政策は、消費者に今まで以上に商品購入先の選別を迫るかもしれない。消費税5%から8%への引き上げは、小売各社の大きな岐路になる。

石川 正樹 東洋経済 記者

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いしかわ まさき / Masaki Ishikawa

『会社四季報』元編集長。2023年より週刊東洋経済編集部。

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秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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