昆虫農場は世界の「タンパク質危機」を救うか

タンパク質と消化しやすい脂肪がたっぷり

昆虫養殖事業は、まだいくつかのハードルを越えなければならない。たとえば、動物に飼料として与えることに対してさえ嫌悪感が見られる。また、粉末化した昆虫を用いることで食品供給に新たな有毒物質が入り込まないことを規制当局に納得させる必要がある。

シアトル・タコマ空港に近い車体修理工場の上でミールワーム(ゴミムシダマシ科甲虫の幼虫)の養殖を行っているベータ・ハッチのバージニア・エメリー最高経営責任者(CEO)は、「食品システムのなかで、虫は汚物と考えられている」と話す。

昆虫を水産養殖の餌に

カーギルは2015年、家禽用飼料を昆虫ベースにする実験を行ったが、その後同社の昆虫への取り組みは、成長しつつある水産養殖事業の支援が中心となっている。代替タンパク源への需要が最も強いのが水産養殖事業だからだ。

魚の餌として利用されることを想定している(写真:ロイター/Ben Nelms)

ベータ・ハッチも同じ市場を追求している。小規模なベータ・ハッチが養殖するミールワームは、エメリーCEOがウイルバー・エリスからの投資に助けられて事業を拡大しているため、最終的に魚の餌になる可能性が高い。ウイルバー・エリスの顧客である水産養殖事業者が、魚粉に代わる持続可能な代替タンパク源を強く求めているからだ。

ウイルバー・エリス飼料事業部のアンドリュー・ロダー社長は、「魚粉の供給には限りがあるが、水産養殖は成長を続けている」と語る。「昆虫由来の飼料はソリューションの1つだと考えている」

水産養殖が急成長しているのは、消費需要が拡大する一方で、乱獲に対する懸念の高まりに伴い、多くの枯渇品種に関する捕獲制限が課せられているからだ。また一部の海域では、海水温の上昇が供給途絶をもたらしている。

これはつまり、人間が摂取する魚は今後ますます養殖に頼るようになっていくという意味であり、そのための飼料の需要・価格も上昇していく。

魚粉は天然のカタクチイワシ、ニシンその他の脂肪の多い魚類から製造され、通常の水産養殖用飼料の約25%を占めている。飼料としては、穀物や大豆由来のものも使われるのが普通だ。

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