石破茂氏、「トランプと渡り合う私のやり方」 ポスト安倍の有力候補があるべき政策を語る

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――憲法改正についての考え方を教えてください。

石破 茂(いしば しげる)/1957年2月4日生まれ。自民党衆議院議員(鳥取1区)。慶応義塾大学卒業後、1979年三井銀行入行。1986年、鳥取県知事だった父の死後から約5年後、28歳で衆議院議員初当選(当時最年少)。1993年自民党を離党するなどして新進党結党に参加、その後自民党に復党。2002年防衛庁長官(第1次小泉内閣第1次改造内閣)として初入閣。以来、防衛大臣、農林水産大臣、党政調会長、幹事長、地方創生担当大臣を歴任(撮影:梅谷秀司)

憲法改正は、ものすごい時間がかかることだ。国家って何ですかと問われて、「えっ?」という人は多い。国家とは、領土と国民と統治機構の3つによって成り立っていて、それが国家主権であり、この3つは外国に指一つ触れさせてはいけない。それらを守るのが、国が独立するということだ。

憲法を変えるというのは、国の形を変えることだから、政権の都合や政党の都合で拙速にやるべきではない。主権者たる国民の理解がないと憲法改正はできない。急ぐから、どうせわからないから、その場しのぎの改正でいいだろうとは私は思っていない。本来あるべき改正をやるためにはきちんと時間をかけるべきだ。その前にやらなければいけないことはたくさんある。

――政局の急変で、憲法改正は遠のいたのでは?

今の安倍政権の改憲案では、「戦後レジームの憲法による固定化」になってしまう。安倍総裁が「憲法を改正しても、何にも変わりません」とおっしゃったことに端的に表現されている。今までは「押しつけ憲法だ」とか言えたが、改正したら、それが日本国民の選択として残る。戦後レジームの固定化を本当にやっていいのか。

今のままでは「ルールなき自衛権行使」の容認になる

――憲法改正の前にやるべきこととは何ですか。

防衛力とは、立派な戦車や艦船や航空機を持つだけではない。それを動かすだけの人、燃料、弾薬がなければ単なる鉄の塊に過ぎない。いまそれらが十分かといえば、私はそうは思わない。景気がよくなると自衛官は集まらない。予備役はまったく足りない。それをきちんと確保するためには、政策を変えていかないといけない。

また憲法問題に直結することだが、自衛隊は日本国のシステムの中では行政機関として位置づけられている。しかし外国を相手に戦うとき、国内法を執行してどうするのか。警察ではないのに。自衛隊法は、警察と一緒でポジティブリストになっているから、やってよいことがズラズラッと書いてある。だが、普通は、国際法上の禁止事項、無差別攻撃や捕虜虐待などやっていけないことが明記されるのであって、それ以外は何をやってもいいというのが交戦権だ。

日本国憲法第9条の「国の交戦権は、これを認めない」というのをそのままにしたら、ルールなき自衛権行使を容認することになる。怖くないですかと聞きたい。そして憲法改正以前に、自衛隊は何をできる組織ですか、それをやるための能力は十分ですかといった根元の議論をする必要がある。

――となると、防衛費は増やす方向ですか。

総額についてどう考えるかはともかく、燃料、弾薬、人員にもっと予算は配分されるべきだろう。

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