7年不倫、破談を経験した38歳女性の心境変化 「女の私を守ってくれて当然と思っていた」

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弘文さんは初婚ではない。20代前半で同い年の女性と「授かり婚」をし、その後に破局に至った経験がある。離婚直後に婚活サイトに登録して由紀さんと出会ったのだ。

すてきな女性と交際はしたいけれど結婚はしばらく考えたくない、と思っていたに違いない。由紀さんはそんな弘文さんの気分を忖度(そんたく)したりはせず、「遊び相手を求めているならば他の人を当たってほしい」と断言した。

由紀さんのきっぱりした言動は、男性との交際が始まりそうな局面にいる女性には参考になるかもしれない。男性のほうがグイグイと押してきている状況で、まじめな交際であるという言質を取り、「半年後には結婚を検討する」などと期限を切るのだ。まともな男性であれば、そのような重大な口約束は心の中にずっしりと沈み、約束の履行へと自ら向かっていく。

2人は半年後に同棲をし、さらに半年後には結婚。家事が得意で、仕事にも前向きな弘文さんとの生活は意外なほど快適だ。

「でも、最初の半年間は私が怒ることが多かったです。彼は自分のことだけをさっさとやってしまう癖があります。お互いに仕事が忙しい平日は会話をする時間がほとんどないので、お風呂に一緒に入っているのですが、先にお風呂から上がった彼はドライヤーを使ったあと片付けてしまうんです。私もすぐに使うからそのままでいいよ、と何度言っても忘れちゃう。5度目で怒りました。『あんた、バカでしょ? そんなことも覚えられないの!』と」

片付けられない人よりは100倍ぐらいマシな気がする。しかし、末っ子気質を自認する由紀さんとしては10歳年下の弘文さんにも「大人の配慮」を求めてしまうのだ。今では、そんな自分を客観的に見られるようになり、弘文さんへの対応にも余裕が生まれている。

「彼はテレビ好きなので、食事のときにテレビに熱中して箸を動かす手が止まってしまいます。最近、食事中はテレビ禁止にしました。ときどき彼が小学生のように見えることもありますが、仕事に対する不安など何でも正直に話してくれるのでうれしくも感じます。頼りにされつつも、彼が望む『かわいい女』像も持ち合わせていたい。かわいく年を重ねていけたら、と思っています」

男性にリードしてもらうのが当然と思っていた

最近、由紀さんは過去に付き合ってきた男性たちを懐かしく思い出す。女の私を守ってくれてリードしてくれるのが当然だと思っていた。大人のマナーを身に付けていてほしかった。それがかなわないと知ったとき、由紀さんは不機嫌になってしまっていた。

若い弘文さんとの晩婚生活で気づいたことがある。言いたいことがあるならばその都度言えばいいのだ。生活習慣は少しずつ改善できることもある。10年前にそれがわかっていれば、もっと男性に優しくなれたかもしれない。

長年、理想の男性像があった由紀さん。男性に多くを期待しすぎず、一方では「言いたいことはその都度言う」という明瞭さを持つ。そうすれば、自身が思い描くような頼もしくてかわいらしい大人の女性になれるのではないだろうか。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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