外国人留学生向けの就活支援は喫緊の課題だ 留学生増加でも3割しか日本で就職できない

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また明治大学は今年から、1~2年生の外国人留学生向けに就職セミナーを始めた。留学生は日本の就活事情や企業情報に疎く、就活開始が遅れて就職できないことがあるので、低学年から就職を意識させるのが狙いだ。

文系学部の1~2年生が在籍する和泉キャンパス(東京都杉並区)では、4月11日と13日の昼休みに行われたセミナーに、60人の留学生が集まった。和泉キャンパスには300人の留学生が在籍しているので、留学生の2割が参加したことになる。

「日本では卒業後に就活するのではありません。在学中から活動を始めます」「日本企業では入社するまで、どの部署に配属されるかわかりません」。日本と海外の就職の違いについて、キャリアセンター職員の藤江森郎氏が説明するのを、留学生たちは真剣に聞き入っていた。

もう人数を増加させる段階は終わった

参加留学生に話を聞くと、「日本の技術力のある中小企業に興味がある」(中国人留学生)、「日本企業に就職したほうがきちんとキャリアを積んで安定した生活ができる」(韓国人留学生)、などといった答えが返ってきた。1~2年生の段階で母国よりも日本での就職希望を明確にしている。

藤江氏は「実力があっても、日本の就活事情を知らないために、就職できない留学生は少なくない。今後も地道に1~2年生を指導して、1人でも多くの留学生の夢をかなえてあげたい」と今後の抱負を語る。

国内の大学がどんどん留学生を入学させても、彼らが就職できなければ大学としての責任が問われるうえ、その後の留学生募集にも支障を来す。留学生受け入れを推進している日本政府としても責任は重大だ。日本にあこがれて留学してきた若者の夢を砕いてしまえば、せっかくの日本ファンが”アンチ日本”にもなりかねない。

これまで政府も大学も、留学生を増加させることばかり考えてきた。だがこれからは、就職についても考えなければならないし、そうしなければ留学生の増加は期待できない。

田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

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たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

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