40歳超の転職に失敗する人と成功する人の差 条件にこだわりすぎると痛い目を見る

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ただ、現実には、職業や給料、勤務地にこだわりなく仕事を探す人はほとんどいないため、満足度が高い転職を実現するには、一人ひとりまったく異なる難易度になってしまいます。特に40歳を過ぎると、受け入れてくれる求人企業は激減するので、「こだわり条件の数」や「こだわり水準」によっては、自分が求めているレベルの求人がほとんどない、結果として転職活動が進まないというケースも激増することになります。

こうした場合、当初の希望とはまったく異なる業界・職種、雇用形態を受け入れざるをえなくなる場合も出てきます。ある事例では、「年収900万円が時給900円になった」という話も聞きますが、こうした現実は日々当たり前のように起こっています。

同じ大企業からの転職で明暗分かれた2人…

ある2人の転職事例を紹介しましょう。1人目は、大手家電メーカーの管理部門で企画系の仕事をしていたAさん(47歳)。もう1人は、まったく同じ会社・同じ部門で仕事をしていた、Aさんより10歳年上のBさん(57歳)です。

Aさんは、転職の際、転職マーケットの事前調査をまったくやらずに転職活動を行いました。大手家電メーカー時代と同等の条件にこだわり、エリアは東京の山手線の内側、業界は同じ家電メーカー、役職も部長以上、年収は1200万円以上といった希望でした。

そんなAさんの希望を満額で満たす求人はほとんどなく、エージェントからも紹介案件はありませんでした。しょうがなく、Aさんは自分で求人サイトでも探しましたが、やはり条件に合う求人はありません。

何度か、給料の表記のない求人に応募しましたが、面接で給料を聞くと、希望の半分の600万円などと言われ、自ら辞退したそうです。半年経って、多少条件を緩和しましたが、それでも希望の求人はなく、1年経っても転職は決まりませんでした。

転職活動をしているといっても、条件に合う求人がないのですからやることがなく、親族の会社の手伝いを始めました。社員ではなく、あくまでも手伝いです。

部長職という役職や、年収1000万円以上という条件は譲れず、状況はより厳しくなっています。47歳という年齢で、ブランクが1年以上になると、書類選考段階で「Aさんには何か問題があるのでは?」という先入観を持つ企業も増えてしまうためです。

Aさんは転職活動を始めたころに自ら辞退した求人について、「あれを受ければよかったな」と、ちょっと後悔しているようです。しかし、もうそのときに戻ることはできません。

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