40歳超の転職に失敗する人と成功する人の差 条件にこだわりすぎると痛い目を見る
一方のBさんは、Aさんより役職は上でしたが、年齢が57歳ということもあり、最初から転職活動は厳しいものになると覚悟していました。そのため、ある程度、事前調査をやってから転職活動を行いました。転職の際のエリア、業界、職種、年収にもこだわりはなく、転職活動を始めたときから、いろいろな業界の企業の面接を受けていました。
大手企業にいたにもかかわらず、企業規模にもこだわりはなく、職種も、営業系の部長のポジションや、それより下のマネジャークラスの求人であっても話を聞きに行きました。転職マーケットの調査・分析だけでなく、並行して自己分析も行っており、自分の強みは、どんな商売であっても、状況を正確に分析して、変化の材料を集めて、そこに戦略の勝ち筋を見つけていくことだと言っていました。そして、「できれば、それがやりたい」という希望を熱く話していました。さらに、「エクセルやパワーポイントも自由に使えるので、部下がいなくてもいい」とまで言っていました。
転職活動を始めてから8カ月後、Bさんの転職先が決まりました。行き先は中堅住宅メーカーで、年収は前職の3分の2、1500万円から1000万円ぐらいに下がりました。企業規模はだいぶ小さくなりましたが、それでもれっきとした上場企業です。
職種は、経営の企画系と同じですが、業界は家電から住宅とまったくの畑違いへ。商慣習も違えば、風土も違うところへの転職となりましたが、中堅住宅メーカーの会長からとても気に入られ、会長直轄の未来戦略を描く経営企画室長として三顧の礼で迎えられました。相思相愛で入社されたBさんは、現在もその企業で活躍されています。
ミドル転職に失敗する人に共通するポイント
同じ大手家電メーカーからの転職でも、これだけの「転職格差」があります。スタート地点はほぼ同じだったにもかかわらず、Aさんは1年間転職活動を行っても転職先が決まらず、Bさんは8カ月で自分が活躍できる企業、職場を見つけることができました。
47歳と57歳ですから、一見すると47歳のAさんのほうが年齢的には転職に有利だと思われるかもしれませんが、結果は逆でした。Aさんの転職がうまくいかなかったのは、率直に言って、条件を細かくたくさんつけたからです。
しかも、その条件が大企業勤務時代と同じ。求職者の多くは、前職と同じ業界への転職を希望します。「〇〇業界で何十年と仕事をしてきたのだから、自分の能力を生かせるのは〇〇業界しかない」。こう考えてしまうのです。そして、職種も同じです。「△△職を長く経験して多少なりともスペシャリティを磨いてきた。△△職の仕事なら求職もあるだろうし、自分も活躍できるはずだ」。
自分の強みは、「同業界の同職種にある」と考えているため、転職の際も同業界の同職種を希望する人が多いのです。「自分がこれまで積み上げてきたものを捨てたくない」。こうした心理も間違いなくあるでしょう。Aさんは、「家電以外は考えられません」と言っていました。自分が積み上げてきた、せっかくのキャリアを今さら捨てられるか、という気持ちになるのもよく理解できますが、そこにワナがひそんでいるのです。
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