変調の兆し?世界経済の拡大は続くのか 輸出減速、日本経済1-3月期はほぼゼロ成長へ
2018年1-3月期の実質GDP(国内総生産)成長率はゼロに近くなる可能性が高まった。
4月18日発表の3月貿易統計は、輸出が前年同月比2.1%増の7兆3819億円、輸入が同0.6%減の6兆5845億円で、差引の貿易収支は7973億円の黒字で同32.1%の増加となった。季節調整値は1192億円の黒字だった。輸出の伸びが鈍かったものの、輸入の減少が大きく、貿易黒字が膨らんだ格好だ。
貿易統計の1-3月期は1月に日本の正月、2月に中国の春節を含むため、振れが大きくなる。ただ、均してみると輸出は前年同月比1ケタ台の伸びにとどまっている。2017年には輸出がほぼ2ケタ増ペースを続けて暦年で11.8%増になったのと比べると大きく減速している。
ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長は今年3月までの貿易統計と2月までの国際収支統計の結果から、「1-3月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると前期比ゼロ%台前半の伸び、ほぼ横ばいにとどまる」と見る。また、「民間消費、設備投資の増加を在庫、住宅投資のマイナスが相殺することから、実質GDPもほぼゼロ成長になるだろう」と話す。
振るわない鉱工業生産、先行きは?
民間エコノミストの1-3月期実質GDP成長率のコンセンサス予想(ESPフォーキャスト調査)は4月調査(回答期間3月27日~4月3日)で前期比年率0.56%だが、すでに2回連続で下方修正されており、おそらく4月27日の鉱工業生産の発表を受けてさらに下方修正されるだろう。
鉱工業生産統計について、振れの大きい季節調整値・前月比でなく、原数値・前年同月比で見ると、1月は2.9%増、2月は1.6%増と足元で減速している。3月は持ち直したとしても、1-3月期としては低水準だ。ただ、問題は先行き。1月、2月は在庫のほうも減少し、積みあがっているわけではないので、先行きも低調に推移するのか、回復してくるのかは判断が難しいところだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら