変調の兆し?世界経済の拡大は続くのか 輸出減速、日本経済1-3月期はほぼゼロ成長へ

拡大
縮小

日本経済をめぐる統計数値はこのところ弱いものが多い。日銀短観3月調査では大企業製造業の業況判断D.I.(「良い」という回答から「悪い」という回答を差し引いた比率)が24と高水準ながら、前回12月調査に比べて2ポイント低下、8四半期ぶりに悪化した。また3カ月後先行きも、4ポイント低下しており、悪化を見込む結果となっている。大企業非製造業でも先行きは悪化する見通しになっている。

消費は改善見込めず、海外の動向がカギ

また、消費はもともと賃金の伸びが鈍いことなどを背景に低調が続いているが、1月、2月は生鮮食品の価格高騰により、消費者物価の総合指数が1%台の半ばで推移したため、GDPにおける最終消費支出も伸び悩むとみられている。また、内閣府の「消費動向調査」において、半年後の暮らし向きや雇用状況、収入などの見通しを聞いて算出する消費者態度指数も今年に入って、足踏み状態だ。

消費が大きく増える要因はなく、2017年の実質1.7%という潜在成長率を大幅に超える成長をけん引した輸出の動向がカギとなる。ポイントは世界経済の拡大が続くかどうかであり、その意味で気になるのは1-3月の輸出において半導体等電子部品の不調やアジア、中国向けの輸出が伸び悩んでいることだ。スマートフォンの販売不調による一時的なものなのかどうか。米中貿易戦争による貿易摩擦のリスクに今は注目が集まりがちだが、引き締めに向かっている米国の金融政策や、中国政府によるバブル潰しのかじ取りも引き続き警戒されるところだ。

大崎 明子 東洋経済 編集委員

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おおさき あきこ / Akiko Osaki

早稲田大学政治経済学部卒。1985年東洋経済新報社入社。機械、精密機器業界などを担当後、関西支社でバブルのピークと崩壊に遇い不動産市場を取材。その後、『週刊東洋経済』編集部、『オール投資』編集部、証券・保険・銀行業界の担当を経て『金融ビジネス』編集長。一橋大学大学院国際企業戦略研究科(経営法務)修士。現在は、金融市場全般と地方銀行をウォッチする一方、マクロ経済を担当。

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