人生を充実させるのに大きな変化はいらない

スタンフォード流最高の人生設計術とは?

ライフデザインでは、人生で絶対に解決できない問題を「重力問題」と呼んでいて、これは「受け入れるしかない」としている。講座を受けていない学生は、こうした問題に対する悩みが、卒業が近づくにつれて膨らんでいくのに対して、受講している学生はこうした問題に対する不安が縮まっていく。さらに、アイデアを出す力や思考力が強化されることもわかった。

もう1つ興味深いのは、受講生では、心理学で言うところの「自己効力感」つまり、自分の人生は自分で変えられる、あるいは、自分の人生を舵取りできるという自信が圧倒的に高かった。これらすべては、統計でちゃんと示された研究結果だ。

人生はいつでも見直すことができる

――著書では「定期的に、今やっている仕事が本当に好きなのか、自分の人生に満足しているのか見直すべきだと」と書いています。どのくらい頻繁に点検すべきでしょう?

Bill Burnett/スタンフォード大学デザイン・プログラムのエグゼクティブ・ディレクター、ライフデザイン・ラボの共同創設者。同大学にてプロダクトデザインの学士号と修士号を取得した後、企業で活躍し、アップルのパワーブックやハズブロの「スター・ウォーズ」のアクションフィギュアのデザインで賞を受賞。デザイン・コンサルタント会社のCEOも務める(撮影:梅谷 秀司)

それぞれの状況によるけれど、大事なのは、人生はいつでも見直せるし、やり直せるということだ。社会に出てから大学院に戻ってくる学生の中には、5年エンジニアをやっていたけれども、デザイナーのようなもっとクリエイティブな仕事がしたいという人もいる。最高齢は60歳だ。彼は現在、自分でデザイン事務所をやっている。

少しでも変えたいことがある、あるいは、見直したほうがいいと感じていることがあるのならば、自分の人生におけるコンパスに従って、「より人生を充実させるには何が必要か」を考えてみるといいかもしれない。

ライフデザインでは、「健康/仕事/遊び/愛のダッシュボード」と呼ぶ、自分の「現在地」を知る方法を取り入れていて、それぞれの項目において自分のエネルギーがゼロから満タンまでのどの位置にあるのかを見極める。たとえば、私の場合、遊びに費やすエネルギーがものすごく低くて、仕事はやりすぎになっていたことがある。

そこで、私は妻と一緒にダンスレッスンに通うようにした。週に1回だけれども、2人でタンゴを習っているんだ。妻の足を踏んでしまうほどひどいダンサーだが、本当に楽しくて自分の人生に遊びの要素が戻ってきた。大事なのは、こういう小さな変化で、人生を変えるような大きな変化ではない。

次ページ大きな変化を起こす必要はない
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • あの日のジョブズは
  • 親という「業」
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 高城幸司の会社の歩き方
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
菅新政権大研究<br>行方を占う5つのポイント

歴代最長の7年8カ月に及んだ安倍政権から何が変わるのか。「自助」好き、「経産省内閣」の継承の有無、解散総選挙など5つの観点で読み解きます。エコノミスト17人へ緊急アンケートを実施、経済見通しと課題も浮き彫りに。

東洋経済education×ICT