人生を充実させるのに大きな変化はいらない スタンフォード流最高の人生設計術とは?
――自分がやっていることは自分に幸福感を与えていない、と認めることは勇気がいります。
ライフデザインをやるうえで最初にやらないといけないことは、自己移入することだ。それには、自分の状況や感情を受け入れる必要がある。問題を解決するには、まずその問題を認識し、受け入れないといけない。
仕事を辞めるよりは、状況改善を図る
――かろうじて自分が好きな仕事に就いたとしても、キャリアの途中で望まないことをやらされたりする時がありますよね。
気の合わない上司や同僚と一緒になったり、気にくわないタスクをやらされる時期も確かにある。すると、とたんに、あんなに好きだった仕事が嫌になったりする。そんな時は、自分の仕事観と人生観を今一度考えてみる。そして、今いる会社で何かリデザインできないかを考えてみてほしい。それは、新しい職を探すよりずっと簡単なはずだ。「resign(辞める)のはなく、redesign (リデザイン)」したほうがいい。
――アメリカ流は「嫌なら辞めてしまえ」かと思っていました。
景気がいいときはそれも選択肢かもしれない。今のシリコンバレーだったら、フェイスブックでの仕事が嫌ならグーグルに、そこが嫌ならアマゾンにより高い給料で雇ってもらえる可能性がある。が、景気が悪いときは、より独創的かつクリエイティブに生きなければ。
――著書の中では、「情熱が見つけられなくても大丈夫」と言っています。
スタンフォード大のビル・デーモン教授が、目的と情熱について調査を行ったことがあるのだが、それによると、調査を受けたうち1つの情熱をもとに人生を設定している人は全体の20%しかいなかった。残りは、「興味があるものはいくつかあるけれど、それが情熱かどうかわからない」「情熱が何かわからない」と答えていた。
たとえば、ダンサーやアーティスト、クリエーターなどは若い頃から情熱を持っていて、そのままその職業に就くことがある。しかし、「小さい頃からビジネスマンになりたかった」という人は多くないだろう。「情熱がすべての始まりだ」という考えがまかり通っているが、情熱を探すことから始めるのは間違っている。
また、デーモン教授の調査では、多くの人が人生の後半になってから情熱を持てるものに出会うことがわかっている。突然「出会う」というよりも、仕事など自分がずっと続けてきたものに情熱を傾けるといった感じだ。
――多くの日本人は自分の人生を見直したかったとしても、忙しすぎてそれができない状態にあるのかもしれません。
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