人生を充実させるのに大きな変化はいらない スタンフォード流最高の人生設計術とは?
――人生を変えたいと思うと、つい大きく舵を切らなければ、と構えてしまいます。
でも、それができないと、多くの人は「失敗した」と感じてしまう。まずは小さく考えて、小さな行動を起こしてみる。人生に変化を起こすために、どこを見直せるか考えてみる。それは、自分の人生をもっと楽しめるように新しいことを始めることかもしれないし、やり方を変えてみることかもしれない。少しずつ変えていけば、半年とか1年後に大きな変化が起こっていることに驚くはずだ。
今は、自分の仕事も含めてかつてほど将来が見通しやすい時代ではない。なので、たとえば趣味を始めたりすることによって、人生に対してよりクリエイティブで柔軟になるための「筋力」をつけることができる。そうすれば、将来何か大きな変化を起こさなければならないことが訪れても、恐れずに対峙することができる。
今の学生は10年前よりずっと現実的
――10年教えていると、受講者の性質や悩みにも変化がありますか。
10年前はちょうどミレニアル世代が学生で、彼らは人生に大きな目的を持つことに躍起だった。何かをやりたいんだけど、何から始めていいのわからない、とか、情熱を持つにはどうしたらいいのか、というのが悩みだった。その下である今の「Z世代」の学生は、金融危機で親がおカネのやりくりに困ったことが影響しているのか、もっと現実的で、自分の学問と仕事をどう結びつけるかを考えている。
なので、彼らにはもっと人生を冒険する考え方を教えている。親が弁護士や医者になれと言うからといって、それがいい生き方とは限らないからだ。大人向けに「ライフデザイン」のワークショップをやることがあるのだが、そこで参加者に「幸福感を感じていない人はいますか」と聞くと、結構大勢の人が手を挙げる。
彼らの多くは、弁護士だったり、大企業の幹部だったり、コンサル企業のパートナーだったりといい仕事に就いている。出世していて、社会的地位も高く、稼いでもいる。それなのに、今の人生に嫌気が差している。なぜなら、今の仕事は変えられないと思っているからだ。
ある女性は、「みんな私は完璧な仕事を持っているというけど、私はまったく幸せじゃない。でも変えることを考えると……」と悩んでいた。つまり、自分のアイデンティティが仕事の上に成り立っているということだ。しかし、こういう人たちは、自分は本当に弁護士をやりたいのか、医者をやりたいのか、と自問はしていない。
成功しているように見える人ほど、自分が本当にそれをやりたいのか自問せずに進んでいるところがある。多くの人が「よい仕事」という仕事を選んでいるが、それが自分に合っているかどうかは考えていない。
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