アルコールは百薬の長どころか「万病の元」だ 宴会前に押さえておくべき飲酒リスクの恐怖

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酒を長期間、日常的に飲み続けると、他にも体のあちこちに影響が出る可能性がある。アルコールは神経に対する毒性があるため、足先や手先がしびれたり(末梢神経障害)、認知機能の障害を起こしたり(中枢神経障害)する場合がある。男性ホルモン(テストステロン)の分泌量を減らす作用もあり、性欲が減退するだけでなく、骨粗しょう症や筋肉量の減少、意欲の低下などを引き起こすこともある。

アルコールは体を痛める原因となるのだ。こうした持続した体の痛みは慢性疼痛とも呼ばれ、海外では「病気」とみなされている。

飲酒は腰や膝を痛める

さらに、アルコールは食欲を増進させるため、つい食べ過ぎてしまうことがある。食べ過ぎによる体重増加は、特に下半身への負担増となり、腰や膝が痛む原因にもなる。

筆者の元を訪れた60代の男性患者は腰と膝が痛いと訴えていた。男性は筆者の元を訪れる前、大学病院も含め多くの医療機関で検査を受けたが、特に大きな異常は見つからず、鎮痛薬や湿布を処方されただけだった。だが、ほとんど効果はなかったという。

こうした事情を聞いた筆者は、男性の状況を詳細に把握する必要を感じ、時間をかけて診察した。

この男性は海鮮料理を主としたレストランのオーナーシェフだった。毎朝6時頃に魚市場に出かけ、寝るのは夜11時頃という日々を送っていた。シェフだけに立ち仕事が多く、かなりの重労働を若い頃から続けてきたためか、年の割にガッシリした体つきで筋力も十分にあった。ただ、40代半ばから徐々に体重が増加し、筆者の元を訪れた頃には90キロを超えていた(身長175センチ)。

男性が太った原因――。それは彼の日課にあった。風呂上がりの就寝前、レストランの食事の余りものをつまみに、350mlのビールを2缶飲んでいたのだ。

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