「帰ってきた民主党」は支離滅裂で悲しすぎる 再分裂で多弱化加速、安倍政権に塩を送る?

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振り返れば、昨年10月の衆院選での野党敗北以来、民進、希望両党での再結集論は浮沈を繰り返してきた。現状のように、野党が細分化したまま次の国政選挙に臨めば、政権交代など望むべくもない。だからと言って理念や政策の違いを無視して「何が何でも一塊(ひとかたまり)に」と再結集しても、いずれ、旧民主党と同様に「路線対立で空中分解するのは明らか」(立憲民主幹部)だ。

公文書改ざん事件など不祥事の連発で安倍内閣の支持率は急落し、自民党支持率も下落している。しかし、その下落分は無党派層に移っただけで、野党の支持率は上昇していない。今回新党を目指す民進、希望両党に至っては1%前後のミニ政党並みの支持率で低迷している。このため「いくら悪あがきをしても、国民の信頼が戻るはずはなく、足の引っ張り合いで与党を喜ばせるだけだ」(首相経験者)との自嘲の声ももれてくる。

「帰ってきた酔っ払い」に「悲しくてやりきれない」

昨年夏以降に民進党が引き起こした様々な騒動は、なぜか永田町では歌を絡めて揶揄されるケースが少なくなかった。小池新党騒動の際は、童謡「どんぐりころころ」の歌詞を替えた「小池にはまってさあ大変」が、そして、希望の党から排除された枝野氏が立憲民主を結党した時には、"政界カラオケキング"の枝野氏が「僕には僕の正義があるんだ」と欅坂46のヒット曲「不協和音」を熱唱したことが話題になった。

今回の「帰ってきた民主党」についても、永田町スズメは「帰ってきた酔っ払い」を絡める。半世紀前の人気グループだったザ・フォーク・クルセダーズのデビュー曲で、テープを早回しさせた伴奏に奇想天外な歌詞でミリオンセラーとなったコミックソングだ。

「おらは死んじまっただ~」で始まる歌詞のサビの部分の替え歌は「官邸よいとこ もいちどおいで カネは多いし 秘書さんもきれいだ…」となる。そこで政権側が「なあおまえ~ 官邸ちゅうとこは そんなにあまいもんやおまへんや もっと真面目にやれ~」と茶々を入れ、続けて国民が歌うのが同じグループの物悲しいバラード「悲しくてやりきれない」だ。「悲しくて 悲しくて とてもやりきれない この限りない虚しさの 救いはないだろうか」。これではあまりに救いがないのだが。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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