「帰ってきた民主党」は支離滅裂で悲しすぎる 再分裂で多弱化加速、安倍政権に塩を送る?

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一方、民進党内でもテレビキャスター出身の杉尾秀哉参院議員は1日、「立憲民主党をのけた形での合流はまったく賛成できない」と新党不参加を表明した。小川敏夫参院議員会長ら数人も立憲抜きの結集に反発しており、民進党も再分裂が避けられない状況だ。

現在、国会での野党第1党は衆院が立憲民主、参院が民進と"衆参ねじれ"の状態が続いている。このため、大塚、玉木両氏は民進・希望両党による新党結成で、衆院でも野党第1党となって、安倍政権と対峙したい考えとされる。しかし、現状では民進衆院組や希望保守系の不参加で、衆院の所属議員数で新党が立憲民主を上回るのは困難とみられている。

民進の増子輝彦幹事長は、新党参加を拒否する立憲民主について「我々はかつての仲間で、政策や綱領もほぼ一緒だ。"別れても好きな人"なので、今後とも連携をとっていきたい」と未練を隠さない。しかし立憲民主は、居場所が定まらない衆参民進系議員の取り込みを狙う構えで、"民希新党"の結成は「民進系再結集どころか、感情的対立による"バラバラ民進"を増幅させる」(共産党)ことにもつながりかねない。

新党名の「民主党」使用には立憲民主がクレーム

こうした中、政界の興味が集中するのが新党の名称だ。大塚氏は「新しい民主党」と繰り返し、民進、希望両党から参加する議員の間では「そのものずばりの『民主党』とすればいい」との声が広がる。ただ、文字通りの先祖返りとなり、政界でも細野氏同様に「帰ってきた民主党」と揶揄する声が出るのは間違いない。そもそも、2009年の民主党政権発足から3年余の政権運営への国民の失望と怒りが、現在の安倍1強政権につながったとされるだけに、「また『民主党』では、国民がそっぽを向く」(民進長老)との不安も拭えない。

新党名については、立憲民主の福山哲郎幹事長は3日の記者会見で、「『民主』が使用される場合、選挙の際の略称設定で混乱が生じる恐れがある」と強い懸念を示した。立憲民主は昨年の衆院選比例代表で、略称を「民主党」として届け出ており、福山氏は「略称の保護がどうなるか総務省に調べてもらっている。議論になるかもしれない」とクレームをつけた。

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