一方、CVTは時にエンジン回転の高なりが加速力よりも先行する“ラバーバンドフィール”がデメリットと評される。
昨今のコンパクトSUVではCVT搭載車が多いが、エクリプスクロスでは既存のCVTが持つメリットを生かしつつ、デメリットを極力感じさせない制御を組み込んだ。試乗した箱根の山道では険しい登坂路が連続するものの、独自のプーリー制御技術によりラバーバンドフィールを抑え、エンジン回転だけが先行し過ぎないようにしながら、しっかり体感できる加速力を生み出すダイレクトな走行性能を確認できた。ここは前述した「音の制御」との相乗効果も高くて、加速力に応じた車内に入り込むエンジンの透過音もグッと小さい。
三菱初のダウンサイジングターボエンジン
三菱初のダウンサイジングターボである直列4気筒1.5Lエンジンも走行性能の評価を高めた。
車両重量1550kg(4WDモデルの最上級車種/今回の試乗車)に対して、最大パワー/最大トルクは150PS/24.5kgf・mと絶対的な数値は決して大きくないものの、普通に運転しているときにタコメーターが示す常用回転数領域である2000回転台では余力が大きい。
また、この2000回転台では加速力を左右するトルクがすでに最大値を発揮していることから、たとえば登坂路でアクセルを少し踏み足して速度を維持する場合でも、大きく回転数を上げることなく登り切る。
一方、急加速時には、ATやDCT(Dual Clutch Transmission)のような有段ギヤが変速するときのように段階的にエンジン回転数を上下させる「ステップシフト制御」が入り、自分のイメージする加速力とエンジン音との連携が図りやすかった。
クルマの動的な部分評価を⽣業とするわれわれテスター陣にとって、運転操作そのものはすでに体になじんでいるものだ。⼀連の動きはまるでスポーツを行うかのごとく⾃然な振る舞いでもある。一方、ユーザー⽬線でクルマを評価した場合に⼤切なことは、サッと乗り込み運転操作をした際、そのクルマがどんな動きをし、そしてドライバーにどんな訴えをかけてくるのかという感性評価であり、そこで感じたものを部分評価と併せて⽂⾔としてまとめ、執筆活動に生かすことが職責であると考えている。
今回公道でエクリプスクロスを走らせた45分間で得られたものは感性評価をするには十分なものだったが、欲を言えば、三菱の誇るS-AWCの違った一面をぜひともじっくり味わってみたくなった。
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