三菱「エクリプスクロス」乗ってわかった本質 公道で見えたのは「上質感」のある走りだ

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具体的には、走行時に発生する振動や騒音の類いは乗ってすぐに誰にでもわかるものだが、ハンドリング性能に特化した部分で評価を求めようとすると、とたんにむずかしくなってしまう。よって、エクリプスクロスでは車内で感じられるさまざまな「音」の量を抑えつつ、同時に不快な振動も抑え、発生する音域にしても角がなくまろやかな音に統一することで上質さを表現することを目指した。

試乗した最上級グレード「Gプラスパッケージ」のインテリア(筆者撮影)

確かにそれは試乗舞台となった箱根の山道(所々路面が荒れていてロードノイズが大きくなりやすい状況)でも感じられた。また、なんでも音や振動を抑えこめば上質かといえばそうではなく、たとえば路面の変化は音(ロードノイズ)や振動(ステアリングやシートの微振動など)としてドライバーにしっかり伝える必要がある。

雨天時の滑りやすい路面で運転支援が期待できる技術としてABSやASC(いわゆるESC/車両挙動安定装置)を例にすると、ペダルから伝わる振動やそれらを動かす電動アクチュエーター類の作動音は路面状況の悪化とタイヤの摩擦円が限界に達していることをドライバーに伝えるツールであり、残すべき要素として考えられている。

自動化レベルの向上に重要な要素

三菱の4WD技術や電子制御化された車両制御システムは、モータースポーツの世界や、かつての市販車であるランサー・エボリューション(筆者もかつてエボⅥオーナー)や、パジェロ(クロスカントリーSUV)などで有名だが、三菱は最先端の制御技術を持ちながらも、いわばその対極のアナログの世界である音や振動をドライバーとのコミュニケーションツールとしていまだに大切にしている。これはこの先の高度な運転支援技術や運転の自動化レベルの向上にとっても重要な要素だ。

リヤウインドを二分するチューブ式LEDテールランプを採用(筆者撮影)

走行性能について山内氏の理想は「CVTを感じさせないこと」にあるという。CVT/Continuously Variable Transmissionの概念はご存じのとおりで、ベルトとプーリーを用いた無段階に変速するトランスミッションを示す。ドライバーのアクセル開度や踏み込み速度に応じCVT側でエンジン回転数を制御することで、エンジンの最も効率の良くなる回転数領域を引き出しやすく、巡航時の燃費性能向上にも一定のメリットがある。

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