三菱自が「過ちに学ぶ研修室」まで作った理由 JALは「御巣鷹山事故」の教訓を学び続ける

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三菱自動車が愛知県岡崎市の技術センター内に設けた「過ちに学ぶ研修室」。同社は3月28日に報道関係者に施設を公開した。説明するのは、開発・品質部門を率いる山下光彦副社長(記者撮影)

「何度だませば気が済むんですか」

「三菱車に乗っているだけで恥ずかしい」

三菱自動車の燃費データ不正問題発覚から2年。当時ユーザーから寄せられた苦情電話の生々しい怒声がスピーカーから聞こえてきた。三菱自動車は、不正のメイン舞台となった愛知県岡崎市の技術センター内に社員用研修施設を今年2月に開設した。

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施設名は「過ちに学ぶ研修室」。2000年のリコール隠し問題以降の度重なる不祥事から教訓を学ぶための施設だ。まさしく「過ちに学ぶ」機会がこれまで幾度となくあったにもかかわらず、それを長年おろそかにして自壊しかけてきた三菱自動車。ネガティブな情報の共有に著しく消極的な組織風土が問題の背景にあったとされる中、企業の「負の遺産」に正面から向き合うことで、今度こそ変われるのだろうか。

繰り返されてきた不祥事

研修室のモニターの映像には、リコール問題調査特別チームのメンバーだった男性社員も登場。「費用がかかるのでリコールをできるだけ出したくないという判断が原因だった」と赤裸々に証言する。 

研修施設には事故を起こした大型車の不具合部品の実物大モデルを展示する。2002年、神奈川県で、走行中の大型車からタイヤが脱落して、ぶつかった母子3人が死傷。山口県では、部品の欠陥で大型トラックが制御不能になり、運転手が死亡した(記者撮影)

 三菱自動車はここ20年弱で、不具合情報の隠蔽とヤミ改修、調査の不徹底によるリコール隠し(2000年と2004年)、軽自動車の大規模リコールに絡む消極的な対応(2012年)、燃費をよく見せるための試験データ改ざんや違法な測定方法などの不正(2016年)と、計4回の不祥事を繰り返した。リコール隠しの過程では、車両の不具合による事故が発生して死者も出した。

研修室では、約10分間の映像や時系列でのパネル解説、当時の新聞記事、死亡事故の原因となった不具合部品の実物大モデルを展示。入社時や昇進時などの研修プログラムに施設見学を組み込む。当面は開発部門の社員4000人への研修を優先して実施する予定で、すでに管理職500人は見学を終えたという。

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