東急ハンズ新宿店、「オタク店員」登用の理由 創業42年を迎える生活雑貨大手の危機感とは
東急ハンズは従来、ミキサーや洗剤などの実演販売や、客の個別相談への対応は行っていた。だが、3月からあえて店主を常駐させた背景には、消費環境や顧客層の変化に対する危機意識がある。
ネット上で戦うには限界
東急ハンズの直近10年の売上高は、年間800億~900億円前後と横ばいが続いている。同社や親会社である東急不動産ホールディングスには、事業の成長に向けたテコ入れが必要との認識が強くあった。
売り上げが伸び悩む要因の1つが、EC(ネット通販)の拡大だ。アマゾンを筆頭に国内でもネットでの買い物が急速に浸透し、顧客の流出と売り場の「ショールーム化」が進んだ。
ハンズ独自のECサイトも設けているが、ECは実店舗以上に価格競争に陥りがち。特に同社は売上高に占めるPB(プライベートブランド)の比率が3%弱にすぎず、メーカーなどから仕入れるナショナルブランド商品が売り上げの大半を占める。中~高価格帯の商品の定価販売が多く、価格競争の激しいネット上で戦うには限界もある。
一方ECでは、目的の商品やその関連商品以外のものが買い手の目に入ることは少ない。その点、東急ハンズはモノをただ売るのではなく、想定していなかった商品との出合いや、素材の組み合わせで新しい発見が生まれるような店舗づくりを重視してきた。店主とのやり取りを通じて、こうした出合いや発見が生まれるきっかけを増やし、実店舗ならではの強みを色濃く打ち出す狙いがある。
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