嫌韓・嫌中の構造を、鋭く分析してみた “事なかれ主義”“隠蔽体質”で水に流した歴史認識

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”事なかれ主義“”隠蔽体質“で”水に流す“対応のツケ

さて、なぜこのように、戦後長らく歴史家の中で、また実際の加害者・被害者の体験の中で史実とされてきたことが次世代に全く届いておらず、急激に歴史認識が急激に変質しているのだろうか。

これは一言でいえば“事なかれ主義“で、過去を追求するより”水に流す“ことを選んできたツケがきているといえよう。例えば原発汚染水にしてもそうだが何かにつけて都合の悪いことは隠蔽体質の自民党が、実質的に何も教えずに近代史教育を終えてきたため結果的に日本の若者の間で“歴史認識の空白”が生じていた。

そして歴史認識がないため、歴史を理解したいと思って調べたときに出てくる情報の大半であるネットの “ゴミ情報”に若者が安易に左右されるようになっている。その情報源には国際的な視点と人脈を有していたり、東アジア近代史のP.h.Dを取った人などひとりもおらず、単に2ちゃんねるにへばりついた極めて視野が狭い人たちが暗躍しているのだ。

たとえば櫻井よしこ氏だけに限らないが、「あの写真の日本兵の制服は実は中国人の服で・・・・・・」などの論点をつつくことを歴史認識のよりどころにする層が増え、その馬鹿らしさに気づくメディアリテラシーを持たない人々が引き続き、“歴史認識の原発汚染水”を垂れ流している。

沖縄竹富町をめぐる教科書問題の本質とは

ちなみに史実に関する議論がリーズナブルに分かれるトピックに関してはどちらの国も両論併記で教えてほしいが、実際は両論ともに教えない事なかれ主義が長らく続いた。そして今では右に偏った極論を教える“公民の教科書”が地元住民の反発にもかかわらず、政治家から押し付けられる事態になっている。

現在の歴史教育の実態にご関心をお持ちの方は、現在問題になっている、沖縄県竹富町に押し付けられている“大東亜歴史観”の育鵬社の公民の教科書と、その八木秀次理事長の歴史観、彼らと下村博文文部大臣、安倍首相の親密な関係についてネットで検索されると、驚きの実態がおわかりになることだろう。

下村氏が文科相に任命されているのも、彼が“竹富町はルールを守れ”と言うのも、安倍氏が長年推進してきた“安倍史観”教科書を未来の子供たちに押し付けるための口実で、しかも記者に問われてもどちらの教科書が望ましいか(裏では歴史修正主義の育鵬社を支持してきたのに)公には発言を回避している姿勢が卑怯極まりない。

これこそが私の言う、“学者に歴史観を任せる”という安倍氏の発言が、文科省人事や御用学者を隠れみのに安倍史観を学校に押し付けている本質なのである。

結果的に中央政府の権力者により、沖縄のはずれの平和な小島の住民に、沖縄戦の犠牲と米軍基地の被害について教えない特殊な教科書が押し付けられようとしている。これ以上沖縄の住民や竹富町の人々の想いを踏みにじることなく、竹富町の人々の声を尊重した教育を、子供たちから奪わないで欲しいものであるが、沖縄の子供たちが成人した時に基地について文句を言わないように教育するには、育鵬社こそが“最適”の教科書であるとはいえよう。

※ 記事初出時、「育鵬社の歴史教科書」と記述しておりましたが、正しくは公民の教科書でした。お詫びして修正いたします。

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