ちなみに安倍首相が、「侵略の定義は定まっていない」などと発言しておきながら「冷静に、首脳会談を私は呼びかける」と言っても、やられた側としては当然不信が強まる。慰安婦問題を否定しておいて、国連で女性人権のために尽力するとぶち上げたのも、意図が見え透いた不誠実さの表れと反発されており、APECで朴大統領に「私も韓国料理を良く食べます」とかの社交的あいさつをしたところで、“あらそうですの、私もたくわんと鮭茶漬けが好物ですのよ”と愛想よく返ってくるわけないのである。
韓国の文化として、怒っているときは口を利かない、会わないというのは基本であり、私の歴代韓国人彼女も怒ると本当に長い間私を無視したものである。なお仲直りにはいつも仲介者を必要としたので、アメリカを介して双方と密約して仲直り、という流れだろうか。
中国と日本のスポットライトのズレ
中国に関しても戦時中のもろもろの行為に関して一部の日本の政治家・評論家が謝罪を覆すため、“中国の捏造”と大々的に発言することに怒りを通り越してあきれている、という感じである。なお香港にいても上海にいても感じるのだが、連日今でも日本軍の侵略に共産党がどう戦ったかという番組が本当に毎日放送されているので、歴史が風化することはまずないことに向き合わなければならない。
ただし冷静に“政治家と一般市民は分けて考えるべき”としている市民も多くいて、昨日乗った上海のタクシーのドライバーさんに聞いても「日本人は経済や民生が第一でそれで自民党を支持しているだけで、別に再軍備や歴史認識で安倍首相を支持しているわけではないと聞いている」と語っていたのには驚いた。ただこの人はかなりの反米主義者で、「一昔前の反日デモも、エジプトやシリアと同じく米帝が仕込んだもの」と言っていたので、いささか一般的な上海人とは思えないのが難点だが・・・・・・。
結局言いっ放しで何も責任をとれなかったわけだが、名古屋市長が愚かにも中国からの訪問者に南京虐殺はウソだと言ったり、石原氏が尖閣諸島購入を突然言い出し、それへの中国の反発に反発を感じるという不健全なナショナリズムサイクルに陥っており、実際にこれら政治家の恥ずべき言動は、国際社会で生きる日本人にとって、大きなライアビリティ(負債)になってしまっている。
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