「死んでいる会社」に足りない4つの新陳代謝 「赤字事業、ムダを放置…」御社は大丈夫?

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最後の4つ目の対象は「人」である。「死んでいる会社」ほど、リーダーをはじめとする「管理職以上の代謝」が足りない。

【4】管理職以上の「代謝」が足りない

誰が会社のリーダーになるかによって、組織メンバーの意識や価値観、行動や規範が決まり、それが会社の盛衰を決する。「生きている会社」ほど、「これは」と思う人材には「ひと皮むける場」を意識的に与え、早期にリーダーとして経験を積ませている。

一方、「死んでいる会社」では「年功序列の慣例」を打破できず、中途半端な取り組みで終わっている。しかし、一律主義の人事を温存したままでは、有能な人材が育たないばかりか、外部から有能な人材を採用することもできない。

経営トップ、経営幹部の適切な新陳代謝は「生きている会社」であり続けるためには不可欠だが、その一方で、「社員」を新陳代謝の対象としてはならない。もちろん、会社破綻などの場合はリストラなどのやむをえない選択もあるが、人を「会社業績のバッファー」にしてはならない。人は「活かし切る」ものである。

「生きている会社」になろうと思えば、思い切った若返りを断行すると同時に、社員の潜在能力を引き出し、絶え間ない挑戦に向かわせる場を与えるような、「人の新陳代謝」がきわめて重要である。

「創造的新陳代謝」こそが「生きている会社」のカギである

経営における「新陳代謝」とは、「事業・業務・組織・人」の4つを「捨てる」「やめる」「入れ替える」ことである。「赤字・低収益事業」から撤退し、「ムダな業務」をなくし、未来に向けての挑戦に逡巡する「経営陣や幹部、中間管理職」を交代させることである。

冒頭でも繰り返したように「代謝なくして創造なし」である。何かを代謝しなければ、何かを創造することはできない。

にもかかわらず、「新陳代謝」が滞っている会社はあまりにも多い。代謝は否定から始まる。現状を否定しなければ、未来を切り拓くことはできない。

否定には勇気がいる。覚悟がいる。痛みを伴うときもある。だから、できれば代謝はやりたくない。しかし、現状を守ることばかりに目が向けば、新たな創造などできないのだ。

「新陳代謝」こそが「会社の老化」を防ぎ、「会社のぜい肉」をそぎ落とし、「生きている会社」であり続けるための絶対的なカギである。そしてそれは会社全体のみならず、「ひとつの部署」「ひとつのチーム」でも同様である。

皆さんの会社は「生きている」だろうか。仮にいま「死んでいる会社」でも、「4つの新陳代謝」を一過性で終わらせずに継続的に取り組んでいけば、必ず「生きている会社」「生きている組織」「生きているチーム」に変わることができる。代謝こそが未来創造の生命線なのである。

遠藤 功 シナ・コーポレーション代表取締役

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えんどう いさお / Isao Endo

早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。2005年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。

2020年6月末にローランド・ベルガー日本法人会長を退任。7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動。多くの企業のアドバイザー、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。良品計画やSOMPOホールディングス等の社外取締役を務める。

『現場力を鍛える』『見える化』『現場論』『生きている会社、死んでいる会社』『戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法』(以上、東洋経済新報社)などべストセラー著書多数。

 

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