北朝鮮「ナンバー2」が首脳会談にいない理由 崔竜海は金正恩から信頼されていないのか

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しかし、国内統治を管理する崔副委員長は、外交や南北問題、非核化を議論する中朝首脳会談では同席する必要はなかったとの見方もある。

また2015年9月に抗日勝利70周年記念式が平壌で開催された際、当時の金委員長の代理として習主席を訪問したものの中国側から冷遇された経緯もある。そのため、中朝外交では彼の役割が消えてしまったという見方も説得力がある。

とはいえ、国内統治を担当する彼を海外へ同行させたにもかかわらず首脳会談から外したことには、誰にも違和感が残る。

金与正が同行しなかったのは妊娠のため?

一方、金委員長の腹心とされる妹・金与正は今回、同行していないようだ。現在妊娠中である彼女が列車に乗って長距離を移動するのはよくないと考えたのだろう。

また、金委員長が今回のように国内不在となる場合、金委員長を代行して北朝鮮を統治すべき責任があるため国内から出ることができなかったという見方もある。そのため、専門家の中には「金与正と同様に、国内統治を担当する崔副委員長が首脳会談に同席しなかった理由は別の所から探すべきだ」と言う者もいる。

崔副委員長は金委員長と妹に対し忠誠を誓っているからこそ、党組織指導部長という要職に就けたのは周知の事実だ。それにもかかわらず、金委員長の留守番をさせることができるほど信任を得られていないとの読み方もできる。

ある北朝鮮専門家は「金正日総書記の現地指導に同行したからと言って、すべてが側近ではないと聞いたことがある」と言う。信頼が置けないからこそ監視するために随行団のメンバーに入れて、国内で変なことができないようにしていたというのだ。

さらにこの専門家は、「そのため北朝鮮の幹部の間では、現地指導に随行したからと言っても、すべてが権力者ではない。随行しなかったとしても指導者から信頼されていないわけではないとも聞いた」と付け加える。金正恩時代にも、父親と同じようなことが起きているようだ。

ムン・ギョングン 「ソウル新聞」記者
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