長寿番組終了ラッシュが映すテレビの厳しさ 「めちゃイケ」「みなさん」が終わった意味
また、「ぐるぐるナインティナイン」も、「グルメチキンレース ゴチになります!」「おもしろ荘」以外のヒット企画が見つからず、マンネリ感が漂いはじめるなど、視聴率1桁台に低迷する回もありました。しかし、ドラスティックにメンバーを入れ替えたり、地道に新たなスターを発掘したりなどの工夫を重ねつつ、現在も金脈となる企画を掘り当てようと努めています。
もちろんどの番組も低迷期にはそのような工夫をしていますが、両番組に共通しているのは「視聴者層を広げよう」とするポジティブなスタンス。「徹子の部屋」にマツコ・デラックスさん、「ぐるぐるナインティナイン」に中島健人さんと橋本環奈さんを起用したのは、そんなスタンスの象徴といえるでしょう。苦しい時期をやりすごし、長寿の道を歩き続けるためには、「ターゲットを絞り込みすぎず、幅広い年代との接触機会を増やす」という大局的な視点が必須なのです。
ネットコンテンツにはない「安心・安全」
最後にふれておきたいのは、長寿番組をめぐる逆境。若年層だけでなく中年層にもネットコンテンツを優先させる人が増え、動画配信サービスも見応えある番組を手掛けはじめました。テレビの長寿番組にとっては視聴者を奪われる危機的状況であり、他局との視聴率争いとは別次元での対策が求められています。
テレビとネットの枠を超えて視聴者の奪い合いが激化する中、長寿番組の強みは、「長期にわたって放送している」こと。2010年代に入ってから、人もコンテンツも「安心・安全」が求められる風潮がありますが、それは長寿番組の強みとぴったり合致します。長く続けている人や会社に「安心・安全」を感じるのは、ビジネスシーンと同じ。テレビ業界は目先の視聴率を追うばかりではなく、長寿番組が持ち、ネットコンテンツが持たない「安心・安全」をもっと前面に押し出したほうがいいのかもしれません。
今後も続いていくネットコンテンツとの争いにおいて、長寿番組はテレビの切り札になる可能性を秘めています。だからこそ、今回の長寿番組終了ラッシュは、単に「とんねるずが見られなくなる」「『めちゃイケ』ロスになった」などのタレントや番組の問題にとどまらず、テレビ業界全体への歯がゆさを感じてしまうのです。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら