長寿番組終了ラッシュが映すテレビの厳しさ 「めちゃイケ」「みなさん」が終わった意味
しかし、私が各局のテレビマンに聞くかぎり、この現状は本意ではないようです。彼らは口をそろえるように、「純粋なお笑いバラエティをやりたいけど企画が通らない」「視聴率が取れないし、スポンサーもつかない」「視聴率を求められるかぎり、コントやバカバカしい企画は復活しない」と嘆いていました。
なかでも大きいのは、視聴率の低下や、広告収入との費用対効果が悪化していること。近年テレビ業界は、「視聴率低下→予算削減→番組終了→新番組スタート→視聴率低下→予算削減→番組終了→新番組スタート」という負のスパイラルを繰り返してきました。そんな中、フジテレビは最後の砦であるかのように、「みなさん」「めちゃイケ」の終了を踏みとどまってきましたが、ついに耐え切れなくなったことで、さらなるバラエティの画一化が進んでしまうのです。
冠番組を持つ大物MCが希望の光に
事実、「みなさん」の後番組は「直撃!シンソウ坂上」、「めちゃイケ」の後番組は「世界!極タウンに住んでみる」が発表されました。純お笑いバラエティではなく、ニュースと世界がテーマであり、他局と似た番組だったのです。
ちなみに、昨年スタートしたバラエティで最も話題を集めた『陸海空 地球征服するなんて』(テレビ朝日系)のテーマも世界。“ナスD”の破天荒な活躍で盛り上がりましたが、けっきょく似たテーマの番組が多いためか、現在は他番組の中にまぎれた状態となっています。
視聴率と予算に加え、コンプライアンスやクレーム対策などの問題もあるだけに、各局のバラエティが「いかに狭い場所での戦いを強いられているか」は明白。もはや、どんなに長い歴史を持ち、局の発展に貢献し、根強いファン層を持つ長寿番組でも、守ってもらえない時代になったのです。
春以降も放送される長寿番組には、「徹子の部屋」(テレビ朝日系、放送42年)、「タモリ倶楽部」(テレビ朝日系、放送35年)、「所さんの目がテン!」(日本テレビ系、放送28年)、「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」(日本テレビ系、放送28年)、「ダウンタウンDX」(日本テレビ系、放送24年)、「ぐるぐるナインティナイン」(日本テレビ系、放送24年)、「踊る!さんま御殿!!」(日本テレビ系、放送20年)などの大物MCによる冠番組が多数を占めます。
つまり、「MCが人気とスキルを保つことが生き残りの条件となっている」ということ。その意味で上記のMCはこれまで同様の活躍を期待されますし、裏を返せば「まだまだテレビ業界はそれらの大物MCを抱えている」というアドバンテージがあるともいえます。
今後も、現在の大物MCをサポートするとともに、「中堅・若手に冠番組を持たせて次代の大物MCを育てる」ことが、テレビ業界の希望となっていくでしょう。
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