日本のトイザらスが米国と違い大健闘のワケ 米国はアマゾン効果よりもLBOの負担で自滅

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トイザらス港北ニュータウン店は、ベビーザらスを併設する。幼児期に購入頻度が高いおむつは顧客の来店頻度を高める戦略アイテムであり、競争力ある価格で提供している(撮影:今井康一)

――日本ではやるべきことができていますか。

日本は米国とは違う。運営する161店で顧客に集中できている。

私は昨年9月の社長就任前に各店舗を回ったが、お客様に商品の説明ができる知識を持ったスタッフがいる。財務体質も良好だ。この先3年間で無借金になる可能性もある。

新規出店やリニューアルといった投資も日本法人が独自に行える。日本でも、アマゾンだけでなく家電量販店なども玩具を扱っており、米国同様に競争は激化している。だからこそ、子ども達が遊びやすい店、買いやすい店にする努力を続ける必要がある。イノベーションを怠れば負けてしまう。

イノベーション――。日本トイザらスが力を入れるのが新しい基準の店作りだ。昨年9月にリニューアルした港北ニュータウン店(横浜市都筑区)がモデル店となっている。「それまで約3メートルあった棚を約1.6メートルと低くして店内の見通しをよくしました。入り口付近はベビー用品から玩具に切替え、さらに通路を挟んで男児玩具、女児玩具と分けてゾーニングをわかりやすくしました」と吉田健太郎ストアディレクター(店長)は説明する。「プレイテーブルを約10から20~30に増やして子供たちが遊び易い店作りをしています」

イノベーションで商品の回転効率が向上

――店舗のイノベーションの具体例が港北ニュータウン店ですね。

トイザらスの港北ニュータウン店では、リニューアルを機に、子どもが玩具で遊べるプレイテーブルの数を増やした(撮影:今井康一)

どこにどんな玩具があるかをよりわかりやすくした。棚の上から玩具を取るのにはしごが必要だったが、今は子どもの目の高さに商品がある。プレイテーブルを増やしたことで楽しく遊んでもらえる。

こうした新しい店作りの考え方はアジアで共通している。シンガポールや香港、上海の店舗を参考にベストなやり方を日本に移植した。今後は日本のやり方をアジアで発信していくことになる。

――港北ニュータウン店のリニューアル効果を数値で教えてください。

昨年9月以降、来店客数も売上高も増えている。具体的な数値は言えないが、ベリーハッピーなパーセントだ。

港北ニュータウン店では、棚の高さを約1.6メートルと低くし、子どもの目線で商品を選べるようにした(撮影:今井康一)

――棚を低くしたことで店頭の商品数が減りますが、アイテム数を減らしたのですか、1アイテム当たりの商品数を減らしたのですか。

両方だ。商品数は減少したが、商品回転率は向上した。同時に物流も見直している。物流だけの効率性を考えるのではなく、店をサポートするための最適な物流という考え方で改革している。

――客の利便性は落ちませんか。

店頭にiPadを設置し、店にない商品はその場でオンラインでオーダーできる。スタッフがお客様の相談に乗りながらご案内することが多い。いわゆるロングテールはオンラインでの対応が適している。

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