「パワハラ保険」の販売が急増しているワケ 中小企業でもリスク意識が高まっている
東京海上日動火災保険で中小企業向け戦略商品の開発を担当する赤木克之課長も「労働者を保護する法律の整備や働き方の多様化、情報化社会の進展に伴う権利意識の高まりなど、企業が対処すべき労務課題は年々複雑かつ高度化している」と指摘する。
実際に企業が直面するEPLリスクは高まっている。厚生労働省によると、全国の労働局などに寄せられた2016年度の民事上の個別労働紛争の相談件数は25万5460件、前年度比4.2%増と増加傾向が続いている。
そのうち「いじめ・嫌がらせ」に関するものが、トップの7万0917件(前年度比6.5%増)となっている。
人手不足を巡る中小企業特有の事情も
EPLへの意識の高まりは、人手不足を巡る中小企業特有の事情もあるようだ。
三重県内で保険代理店を営むフィット総合保険の佐藤唯文代表取締役は「人手が足りず困っているなか、とりえあず採用をしてみたところ、当人が問題のある人物とわかって辞めさせようとしても、逆に不当解雇で訴えられるのでは、という不安を抱えているところも多い」と取引先の中小事業主の思惑を説明する。
「中小企業オーナーの場合、大企業と違い、訴訟があった場合、それがそのまま企業の存続にかかわるということで、大きなリスクとしてみている」と同氏は語る。
(浦中大我)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら