北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と米国のトランプ大統領が幼稚園児のごとくののしり合っていたのは昨年のことだ。事態は劇的に展開し、米朝トップ会談が5月までに行われることになった。
楽観論も浮上しているが、もう少し慎重かつ現実的にならなければならない。北朝鮮の核問題はおぞましいもので、韓国も米国も北朝鮮の主張をコントロールすることはできない。そのうえ、トランプ氏は出口戦略なしに、北朝鮮との交渉へと足を踏み入れるのだ。ボタンの掛け違いや見込み違いから戦争が始まるリスクはリアルに存在している。
金正恩が交渉の場に出てくるのは・・・
これまでのところ重要発表は北朝鮮や米国ではなく、すべて韓国政府によって行われている。脱北者を親に持つ韓国の文在寅大統領は、北朝鮮に対し制裁と対話によるツートラック(2路線)外交を行うことを公約に掲げ、大統領に選出された。
これが平昌冬季五輪をきっかけとする南北対話につながり、金正恩氏の妹、金与正氏が五輪開会式に出席。これを受けて、韓国の鄭義溶大統領府国家安全保障室長と徐薫国家情報院院長が訪朝した。
2人はその後、米ワシントンに飛び、趙潤済(チョユンジェ)駐米大使とホワイトハウスの中庭で、米朝トップ会談が行われると発表したが、そこに米政府高官の姿はなかった。
国連は北朝鮮に核開発を断念させるために経済制裁を行ってきたが、制裁は有効に機能していない。金正恩氏を交渉の場に引きずり出すことができたのは制裁による圧力のおかげだと結論づけるのは、危険ですらある。
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