マレーシアはイスラム化を食い止められるか

近々行われる総選挙の焦点は?

専門家の下馬評では、マレーシアの総選挙ではナジム首相が勝利すると見られている(写真:Lai Seng Sin/ロイター)

マレーシアの総選挙は早ければ数週間以内、遅くとも5月までに行われる見通しだ。今回はここ何十年で最も熾烈な選挙となりそうだ。1981〜2003年に首相を務め、歴代最長の首相在任記録を持つ92歳のマハティール氏が野党と連携し、自身の後継者であるナジブ首相の続投を阻止しようとしているからだ。だが、かつてマハティール氏が率いた最大与党の統一マレー国民組織(UMNO)は61年間勝ち続けており、これを覆すのは容易でない。

実際、ナジブ氏が勝利するというのが専門家の下馬評だ。ある世論調査では、UMNOが憲法改正が可能となる3分の2の議席数を奪還するとの予測が出ている。マハティール氏はUMNOを離脱し、新たにマレーシア統一プリブミ党(PPBM)を結成。野党連合の希望同盟(PH)を率いることで、ナジブ政権を倒そうとしているが、残された時間は少ない。

『種の起源』は発禁処分になっている

野党連合に参加していない主要野党の全マレーシア・イスラム党(PAS)は、15%程度の支持率しか得ていない。にもかかわらず、党是であるイスラム原理主義に基づく政策のいくつかをナジブ政権にのませている。

だが、今回の総選挙で野党連合が高い得票率を得れば、PASの重要性は低下。イスラム原理主義を交渉カードにした危険な駆け引きから、マレーシアは抜け出せるかもしれない。

こうした駆け引きの危険性を見くびってはならない。マレーシアはもともと政教分離の国だが、最近は宗教的な締め付けが強まる一方だ。アラビア語で唯一神を意味する「アラー」という言葉はかつてアラブ系やインドネシア系のキリスト教徒の間でも広く使用されてきた。

しかし今ではイスラム教徒にしか使用が許されない。さらに驚くべきことに、進化論を説いたダーウィンの『種の起源』を含む広範な書籍が発禁処分となっている。

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